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近藤 正高 12時間前
俳優の小林聡美は、エッセイを中心に、鼎談集やラジオ番組でのトークをまとめた本なども入れるとこれまで10冊を優に超える著書を上梓している。現時点で最新の著書は、昨年(2024年)春に刊行された『茶柱の立つところ』(文藝春秋)だ。
この本に収録されたエッセイに「買い物」と題した1編がある。そこで主につづられるのは、2匹の家猫のためにオーダーメイドで木製のキャットタワーを買ったものの、猫たちが全然遊ばず、結局処分するにいたる(処分するまでがまた大変で、あれこれ試行錯誤した経緯が淡々と語られる)というエピソードなのだが、じつはこれはその5年前の著書『聡乃学習(サトスナワチワザヲナラウ)』(幻冬舎、2019年)にも出てくる話であった。
https://bunshun.jp/articles/-/79287
芸歴は45年あまり…60歳の誕生日を迎えた
とはいえ、まとめ方はまったく異なる。前著で小林は、「猫への愛の証はモノではなく、行動で」との教訓を得たというふうにまとめていたが、『茶柱の立つところ』では、キャットタワーだけでなく、バブル期に買った高級ブランドの服やバッグも引っくるめて、《どんなに気に入って、高いお金をだして買ったものでも、悲しいかないつかはゴミになる》と書く。それゆえに彼女は、品質の素晴らしいものについて使われる「一生もの」なる形容を信じないという。そして最後は次のように締めるのだった。
《つまるところ、一生ものとは、自分の体しかないのだ。いろいろなものに取り囲まれていても、結局最後まで一緒にいるのは自分自身。それに気づくと、美味しいものを食べて、ほどほどの刺激に感動して、静かに生きていければいい、猫がおなかを満たして心地よく眠って一生を終えるように、人間も、本当はそれでいいんじゃないの、と晩年が始まっている私は思う。バブル時代もそれなりに楽しかった。高級バッグは、資本至上主義戒めの象徴として、今しばらく手元に置いておくかな(本当はまだ捨てられない! 強欲)》
「晩年が始まっている私」という表現に、5年の歳月を感じさせる。この間、小林は50代も半ばから後半に入り、さらにコロナ禍もあっただけに、自身を顧みようという思いも募っていったのだろう。きょう5月24日、彼女はまた一つ年齢を重ね、60歳を迎えた。
「『女優になるのよ!』って意識はなかったんですよ」
すでに芸歴は45年あまりを数える。東京の葛飾区出身の小林が初めて芸能事務所に入ったのは中学1年のときで、事務所が設けていた養成所的なところに1年ほど通ったという。もっとも、本人に言わせると、子供の頃からテレビドラマを見るのが好きで、芸能界に入ったのもその延長のような軽い気持ちだったらしい(『新潮45』2005年7月号)。
のちに当時を振り返って《「女優になるのよ!」って意識はべつになかったんですよね。なのにオーディションなんか受けて、受かっちゃって、それでちょっとずつ仕事をして。次は、次はっていう間にここまできてしまった感じです》と語っている(『週刊朝日』2003年10月31日号)。
オーディションで掴んだデビュー作は『金八先生』
仕事を続けてこられたのは、オーディションに合格して出演した作品がことごとく当たったからでもあるのだろう。何しろデビュー作からして、ドラマ『3年B組金八先生』の第1シリーズ(1979年)である。当時中学2年生だった小林は1学年上の役を演じたことになる。さすがにこのときは、クラスメイトの役にアイドルや子役出身者がひしめいていたこともあってか、彼女はさほど注目されなかった。
それが高校に入りオーディションで主演の一人に抜擢された映画『転校生』(1982年)で一躍脚光を浴びることになる。よく知られるように同作は、男女の中学生の心と体が入れ替わってしまったことからの悲喜こもごもを描いたものだ。相手役の男子中学生を同い年の尾美としのりが演じた。
少年らしさをしぐさで表現
監督の大林宣彦は、二人が入れ替わったあとどうなるか演技指導は一切しなかった。ただし一つだけ、小林の身長が尾美より電話帳3冊分低かったことから、彼女を電話帳3冊の上に立たせると、「これだけの目線の違いを演じなさい。君は昨日までこの高さから世界を見ていたのに、電話帳3冊分低くなったところから世界を見るようになったんだから、その戸惑いを演じなさい」とヒントを与えたという(大林宣彦『ぼくの映画人生』実業之日本社、2008年)。
小林が演じたのは心が男子に入れ替わったという設定なので、家のベッドで横になっても、頭が電話帳3冊分の差で枕に届かず、がに股で這い上がるという具合に、しぐさによって少年を表現し、少女の姿とのギャップを際立たせた。
https://bunshun.jp/articles/-/79287?page=3
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引用元: ・【芸能】男子中学生と入れかわった少女を熱演→オファーが殺到したが…当時16歳の小林聡美が「1年間テレビに出なかった」深いワケ
それに引き換え尾美がぜんぜんだった
その2年ぐらい前になかよしで(確か)いでまゆみという人がコミカライズしていた
タイトルは「なんとかしなくちゃ」となってたけど
一夫と一美の年齢設定は小説から変わらず小学6年だったのに高校生ぐらいに見えるキャラクターデザインだったような
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