https://news.yahoo.co.jp/articles/df7629185d9e21cb28148b2201e6b15dbd76607c
コメの値上がりは深刻化し、全国のスーパーの販売価格は4000円以上。昨年の同時期と比べて約2倍となり、家計に大打撃を与えている。そんな中、「私はコメを買ったことがない」と江藤拓前農水相が発言し辞任に追い込まれた。逆風が強まり、支持率の低下にあえぐ石破首相が頼ったのは、かつて批判的に見ていた小泉進次郎氏だった。
引用元: ・「参院選は石破では戦えない」「やはり総理は石破ではなく、進次郎でいくべきだった」の声も [662593167]
■即辞任が当然の状況だったものの石破総理の動きは極めて鈍かった
コメ問題をめぐる国民の不満は、高まる一方だ。それは石破政権の支持率にも影を落とし、夏の参院選が刻一刻と迫り来る中、共同通信が5月17~18日に行なった世論調査では、過去最低の27.4パーセントにまで落ち込んだ。
「あちこちを回っていると、自民党支持者の方から、『悪夢の民主党政権でもコメは買えました。石破政権はそれ以下ですよ』なんて言われますよ……」
5月中旬、筆者が取材に訪れた、とある自民の参院選候補者の集会。200名ほどの聴衆を前に、候補者本人がこんなボヤキ節を漏らしていた。
さらに、
「選挙に向けて二連ポスターをつくりましたが、とにかく石破さんとのツーショットが一番人気がない(笑)。選挙区の候補者で、石破さんとの二連をあえて選ぶ人はほとんどいない」
と候補者のため息交じりの文句が止まることはなかった。
自民党にとっては、ただでさえ厳しい状況。そこにダメ押しとなったのが、江藤拓前農水相(64)の「コメ発言」による更迭劇だった。
「私はコメは買ったことがありません、正直。支援者の方がたくさんコメをくださる。売るほどあるんです」
5月18日に佐賀市内で行われた「政経セミナー」でこう語った江藤氏。コメの価格高騰が問題化している折も折、本来なら責任を感じてしかるべき立場である農水行政のトップから飛び出た無神経すぎる発言に、すぐさま批判の声が高まった。
即辞任が当然とみられたが、石破茂総理(68)の動きは極めて鈍かった。発言翌日の19日に江藤氏を総理官邸に呼んだものの、引導を渡すことはなかった。総理との面会後に江藤氏は、
「『大いに反省したうえで、全面的に発言を撤回して職務に励め』と言われた」
と続投方針であることを明らかにしたのだ。つまり、この時点では石破総理も「この発言で辞めるまではない」と考えていたということだ。江藤氏は翌20日の農林水産委員会で、
「宮崎ではコメをたくさんいただくと『売るほどある』と言う。宮崎弁的な言い方でもあった」
と、火に油を注ぐ謎の釈明を重ねた。
■「やはり総理は石破さんではなく、進次郎でいくべきだった」
一方の進次郎氏は、石破政権発足時に党選対委員長に起用されたが、昨年10月の衆院選翌日に「敗北の責任をとる」として、その職を辞した経緯がある。いさぎよい対応だが、石破総理を支える立場からいち早く抜け出したともいえる。ではなぜ、この難しい時期にわざわざ農水相を引き受けたのか。
進次郎氏の後見人である菅元総理の周辺からは、3月に発覚した石破総理の商品券配布問題の前後から「やはり総理は石破さんではなく、進次郎でいくべきだった」との声が漏れ始めるなど、いまだ彼を総理候補として見る向きは根強い。
党内で「参院選後の石破退陣は既定路線」(前出・自民中堅)といわれる中、進次郎氏としても、難しいコメ問題対応で成果を出し、次の総理候補として存在感をアピールしたいという打算もあるのだろう。
自民党にとっての最大の問題は、参院選を無事に乗り切れるかどうかだ。
石破総理は、野党がほとんど一致して求め、世論調査で約7割が求める消費減税にも後ろ向きだ。消費減税に対抗できる目玉政策も打ち出せていないにもかかわらず、国会では「税を財源とする社会保障費と関係し、将来世代の負担にも直結する」などと自説をのん気に語っている。
自民党のベテラン参院議員が語る。
「参院選の惨敗は濃厚なのに、執行部には危機感が感じられません。消費減税に後ろ向きなことや、江藤氏をめぐる後手後手の対応をみても、それは明らかでしょう。楽観的すぎる見通しを描いているのではないか。国民民主党などを連立に巻き込んで政権を維持できる程度の負けならまだいいのですが、私はそれ以上に負ける可能性もあるとみています。
江藤氏の問題を巡り、石破さんは『任命責任は私にある』といっているのだから、本来は参院選前に責任をとって辞めていただき、新総裁で参院選を戦うのが選挙上も一番いい。ただ、派閥解体の影響もあり、石破さんに本格的にプレッシャーをかけられる存在もほとんどおらず、党内政局は異様に穏やかです。このままでは本当に座して死を待つのみです」
自民党参院候補者たちの憂いは深刻だ。
コメント