誤算その1は、中国は他のどの国よりも「メンツにこだわる国」ということを米国が過小評価していたことだ。145%関税は、確かに、
中国にとって破壊的な打撃を与えるものだった。日本が同じことをされたら、すぐに白旗をあげて、大々的な譲歩を申し出ていたで
あろう。損得を考えれば徹底抗戦は「損」だという計算が働くからだ。 しかし、中国ではそれは許されない。メンツが丸潰れになるからだ。どんなに苦しくても、自分から折れたという形は取れない。
損得勘定を超えた判断が優先される。
それは、米側が譲歩せずに中国側が先に譲歩する中国リオはないことを意味する。
誤算その2は、中国はかなり前から米国との経済戦争に対する準備を進めてきたことを、米国が正しく理解していなかったことだ。
前述のコラムで書いたとおり、中国は第1次トランプ政権の時から、必死に対米依存度を下げようとしてきた。
ーここから中略ー
■「米国人には耐えられないことも中国人には耐えられる」
■経済、生活の悪化を中国国民の全てが「覚悟」
■中国の「データ公開中止」の影響
中国政府が、「景気は気から」と考えて、企業や消費者にネガティブな情報を与えないようにしようと考える気持ちはわかるが、
トランプ関税などの大きな困難にぶつかる中で、その影響がどう出るのか、世界中が関連するデータを欲しがっている時に、
それが隠されるとなれば、逆に中国経済へのネガティブな見方に拍車をかける可能性がある。
もちろん、統計を出さないことは、統計がないことを意味しているわけではない。政府の関係部署は、最新のデータを入手できる
はずだ。そこで正確な数字を把握すれば、的確な経済政策の立案に役立てることができる。
しかし、中国は社会主義だと言っても、実際の経済活動に占める民間企業のウェイトは高まっている。金融資本市場の参加者も
庶民や海外投資家など幅広い。こうした民間のプレイヤーが正しい情報を得られなければ、正しい投資や消費行動を行うことが
できないから、いくら優秀な官僚たちが最善と考える政策を立案・実施しても、片方のエンジンが動いていないようなものだ。
国の「正しい行動」と民間の不完全なあるいは間違った行動の合成の結果得られる成果は、決して最善のものにはならず、
全ての情報を公開していた場合に比べてはるかに悪い結果になる可能性もある。
今回の合意によっても米国が課す30%関税は残る。145%関税よりははるかにマシだとはいえ、
大きな壁が立ちはだかっていることに変わりはない。
90日の猶予期間内に新たな合意が成立して、関税のさらなる大幅引き下げや小口貨物への免税措置の復活が実現できれば、
中国経済の回復も可能になるだろう。
ー中略ー
本来は、日中が他のアジア諸国などと協力して、トランプ関税という前代未聞の横暴に立ち向かうべきである。
しかし、米国の暴挙に対して、中国のみならず、EU、カナダなどが報復措置を掲げながら対峙しているのに対して、日本政府は、
報復は完全に封印し、トランプ大統領にただただひれ伏してご機嫌をとり、慈悲を乞うという態度に終始している。
嘆かわしい限りだ。
中国がトランプ関税という許されない暴力に対して敢然と立ち向かい、これを克服することを、世界、そして、とりわけ日本経済の
ためにも期待するのは、決して私だけではないと思う。
古賀茂明
全文はソースから
5/20(火) 6:32配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/fa3f0edbd44aedc4851ed353f276ab6ffdfbd660
引用元: ・【AERA】「米中関税戦争」での“中共勝利”に日本が学ぶべきこと 安易な妥協はせず「苦難も受け入れて戦う覚悟」を持つ [5/20] [仮面ウニダー★]
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