今年は、インフレによる家計への打撃に加え、ドナルド・トランプ大統領の貿易戦争による所得への悪影響という懸念が、その重要性を一層高めている。
私自身は、消費税は一時的な減税ではなく、大幅に引き下げるべきと考えている。その結果失われる税収は、過去数十年にわたって行われた法人所得税の大幅な減税の一部を撤回することで、容易に補填できる。
■消費税は日本ではうまくいかない
多くの国において、消費税は優れた税制と考えられる。しかし、日本はそうした国の一つではない。なぜなら、消費税は、数十年にわたって、実質的な可処分所得を抑制させ、家計から企業へと所得を移転させる政策を助長してきたからだ。
税によって消費財の価格が10%上昇し、名目所得がまったく増加しない場合、実質所得は10%減少する。これがまさに日本の状況だ。
1人当たりのGDP(国民所得を構成する要素の一つ)が過去30年間で25%増加したにもかかわらず、1人当たりの実質可処分所得、つまり税引き後の所得はまったく増えていない。
ギリシャを除けば、これほど豊かな国でこのような状況にある国を私は他に知らない。
人々の所得が伸び悩めば、当然ながら消費は困難になる。では、所得が横ばいであるにもかかわらず、日本の消費者はどのようにして消費を増やしてきたのだろうか?
それは、貯蓄を取り崩すことによってだった。2012年まではその戦略が奏功したが、2013年以降、貯蓄率はコロナ禍の特異な年を除き、平均で所得のわずか0.7%にまで低下した。
その結果、1人当たりの実質消費支出は2013年から2024年にかけてほとんど伸びていない。
1人当たりの個人消費が停滞し、人口が減少している状況では、企業が日本国内で追加の設備投資を行うインセンティブは乏しいだろう。その結果として、需要は低迷し、GDP成長率は低水準にとどまる。そのため、政府は低迷する民間需要を補うために、巨額の財政赤字を垂れ流し続けざるを得ないのだ。
日本が成長を望むのであれば、消費者にさらなる購買力を与える必要がある。
このデータは、消費税を引き下げても人々は余ったお金を貯蓄に回すだけで、効果がないだろうという財務省の言い訳を明確に否定している。事実はまったく逆だ。
データが示すように、日本の家計は使えるお金が増えれば、より多く消費する傾向がある。もし財務省の主張が正しければ、貯蓄率がこれほど急激に低下することはなかっただろう。
では、国民所得が増加しているにもかかわらず、家計所得が増加していない場合、その超過分の所得はいったい誰が受け取っているのだろうか? そのかなりの部分は、余剰利益を積み上げている企業に流れている。
「日本は復活した」と主張する人々は、しばしば企業の利益増加を指摘する。しかし、その利益の大部分は賃金上昇の抑制によってもたらされたものだ。
現在の従業員1人当たりの企業収益は、30年前の1996年と比較して2倍になっている。しかし、生産性の指標である従業員1人当たりの売上高はわずか20%の増加に過ぎない。
そして、従業員1人当たりの賃金は、実質的にはまったく上昇していない。賃金の抑制は、国民から企業へと所得を移転させているのだ。
さらに、社会保障給付費は高齢者1人当たり290万円から210万円に減少し、物価変動を考慮すると30%もの大幅な減少となっている。さらに悪いことに、家計にかかる税負担(消費税、所得税、社会保険料)は、税引き前所得の16%から23%へと増加している。自民党は、国民への増税と企業への減税を同時に進めることで、事実上、家計から企業、特に大企業へと所得を移転させているのだ。
リチャード・カッツ :東洋経済 特約記者(在ニューヨーク)

引用元: ・【消費税で家計が疲弊し、企業は利益を貯め込む】知日派ジャーナリストが嘆く日本の残念な状況 「消費税は日本ではうまくいかない、日本が成長を望むのであれば、消費者にさらなる購買力を与える必要がある」
国民の好きに使わせたら、中国製品やアメリカITに貢ぐんじゃないか?
米ですら安い外国産を買わせろって要求してる愚民だぞ
コメント