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登山人口は年々増加の一途をたどり、いまや登山は老若男女を問わず楽しめる国民的スポーツになっています。いっぽう、登山人口の増加に比例して山岳事故も増えており、安全な登山技術の普及が喫緊の課題となっています。
運動生理学の見地から、安全で楽しい登山を解説した『 登山と身体の科学 運動生理学から見た合理的な登山術 』(ブルーバックス)から、特におすすめのトピックをご紹介していきます。 登山アプリを中心に、ITツールの登山と健康管理への活用・応用の例をご紹介します。
*本記事は、『登山と身体の科学 運動生理学から見た合理的な登山術』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。
■登山地図アプリを応用した短期的・長期的な身体管理
(※中略)
■IT情報を利用する際の留意点
このようなアプリからの情報に、登山用の時計やスマートウォッチからの生体情報(心拍数、血圧、体温、酸素飽和度、血糖値など)を加えれば、安全で安心な登山にとって、さらに強力なツールとなるでしょう。
このほかにも、身体が受ける衝撃力を計測して、歩行中の物理的なストレスを評価したり、歩き方の上手下手を診断できる可能性もあります。最近では、スマートウォッチの開発が盛んです。そして、日常生活や下界で行う運動に関しては非常に多くの生体情報がわかり、身体の管理にも役立つという宣伝文句が流布しています。
ただし、これらの機器を登山で使うには注意が必要です。これらの機器情報が登山者に役立つためには、当然のことですが、登山中に計測される値が「正確であれば」という条件が付きます。しかし、筆者のこれまでの経験では、登山時に使った場合には不正確な値になる場合も少なくありません。
たとえば図「手首から心拍数を検出する登山用ウォッチの誤動作の例」は、心拍数を計測できる登山用の時計を手首にはめて、手首の血流から検出した心拍数と、胸に電極ベルトを巻いて、心臓の電気信号から正確に測定した心拍数とを比べたものです。前者の値は所々で、正確な値からずれていることがわかります。これは比較的精度のよい機種の例ですが、実用にはならないと言わざるを得ない機種もありました。
登山の場合、バックパックの背負いベルトで手首への血流が阻害されたり、トレッキングポールを地面に突くときの手首への衝撃で、心拍数のカウント数が減ってしまい、実際よりも低い値が表示される場合があります。
また、岩や木をつかんでの歩行時、あるいは重ね着した衣服の圧迫などで、時計が定位置からずれて計測値が低くなってしまう可能性もあります。
このような場合に、画面に表示された値を信じて、もっと負荷を上げてもよい、あるいは上げなければならないと考えたとすれば、無理のない登山をするために使っている機器が、逆に無理をさせてしまうことになります。心臓に問題のある人では危険を招くことにもなります。
このような問題は心拍数だけに限りません。血圧、体温、酸素飽和度、血糖値などの生体情報を、手首の血流を利用して検出する場合にも、同じことが当てはまるのです。
■数値に振り回されないリテラシーを持つことが必要
生理的なIT情報だけでなく、物理的なIT情報についても同じことが言えます。
たとえば、図「登山地図アプリのデータを用いた身体管理」のCで説明した歩行中のペース表示機能では、一定の距離をどれだけの時間で歩いたかによって速度計算をしています。つまりその時点ではなく、その少し手前のペースが表示されます。
このため、ペースを上げたり下げたりしたときに、その変化が画面に反映されるまでには、時間的にずれが生じることを理解していないと、有効には使えません。
今後、より精度の高い機器の開発が待たれますが、それには時間もかかるでしょう。したがって現状では、メーカー側はその有効性と限界とを、わかりやすく説明することが必要です。また登山者の側でも、機器の値をうのみにせず、どの程度の有効性があり、どのような限界があるのかを自分で確認し、使いこなしていく能力が必要です。
今後、IT機器はさらに発達するでしょう。デジタル時代で何でも数値で表され、自分がどう行動すべきかまで、自分で考えなくても機械がその正解を教えてくれる、といった錯覚をしがちです。しかし登山に関しては、まだそこからは遠い距離があるのです。
(※以下略、全文は引用元サイトをご覧ください。)
引用元: ・【登山】もはや、多くの人が手放せないヤマ・アプリ…その「秘められた可能性」と、登山者がはまっていけない「大きな錯覚」 [湛然★]
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