
真宗大谷派で初の外国人住職となったスイス人のジェシー釋萌海(しゃくほうかい)さん(45)が福井県敦賀市横浜の高雲寺住職に着任した。空手を学ぶために来日して21年。母の安楽死をきっかけに仏門に入り、2022年に宗派の教師資格を得た。昨年8月から週に数回、自宅がある京都市内から敦賀に通い、門徒とともにお勤めに励む。「誰もが来られる開かれた寺を目指したい」と語る表情はエネルギーに満ち満ちている。
高雲寺は昨年3月に前住職が急逝し、無住寺院に。門徒らが新たな住職を探す中、敦賀市内の真宗大谷派寺院をまとめる敦賀組の組長、高岡淳さん(57)が以前、ジェシーさんの法話を聞いたことがあった縁で住職の就任を打診した。
ジェシーさんは「いつかは住職に」と考えていたが、「外国人」「女性」のハードルは高いと思い込んでいた。昨年5月、初めて高雲寺を訪れた際、出迎えた門徒から「ともに学んでいこう、歩んでいこう」と声をかけられた。「ありのままを受け入れてもらえた。温かい言葉がうれしかった」。海が目の前に広がり、山が近い、のどかな集落にある高雲寺は理想の場所だったという。
門徒総代の中で責任役員を務める岡本幸男さん(77)は「日本人以上に日本の心を持っている。一目会って話を交わしたときから『ぜひ住職に』と思った。外国人であること、女性であることは全く気にならなかった」と語る。
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ジェシーさんにとって、母親の死と向き合う中で出会った仏教が人生を大きく変えた。2016年、スイスで1人暮らしをしていた当時70歳の母が安楽死を選んだ。スイスでは安楽死が認められており、自殺をほう助する団体がいくつも存在するという。「私の命。死ぬのは私の権利」と主張する母をジェシーさんは連日、電話で説得したが、思いは届かなかった。
精神的に深く落ち込む中で、東本願寺(京都市)に掲げられていた「今、いのちがあなたを生きている」という言葉を目にした。文法的に違和感があったが、「命は私の所有物でなく、命に生かされている」と知り、傷ついた心に深く染み入ったという。仏門に入りたいとの思いを強くし、18年に得度した。
スイスでは空手の道場長を務め、来日後には居合道や尺八にも取り組んだ。普段は京都市内で日本人の夫と暮らすが、住職就任後は敦賀に通い、門徒とともに寺の掃除やお勤めに汗を流す。開かれた寺を目指し、本堂で尺八や琴のコンサートを催したり、チーズフォンデュ作りを楽しむパーティーを開いたりしている。(以下ソース)
2025年4月4日 午後4時00分
https://www.fukuishimbun.co.jp/articles/-/2279328
引用元: ・【福井】スイス人の女性住職が奮闘、敦賀市の寺院 真宗大谷派で初の外国人住職、母の安楽死を契機に得度「開かれた寺を目指したい」 [樽悶★]
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