改憲派も護憲派も“悶絶”？自民から共産までもが警戒…立憲・枝野憲法審会長の絶妙なテーマ設定「首相の解散権の制約」

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　憲法論議を「護憲か、改憲か」の二項対立で扱えたのは、55年体制だった昭和の時代、改憲のテーマが事実上「9条改正」に限られていたからだ。

　しかし、自衛隊の存在が国民の間で一定程度認知されるにつれ、9条だけで改憲の必要性や切迫性を訴えるのは難しくなり、55年体制の崩壊後は、改憲の論点は拡散していった。

　「環境権」「プライバシー権」に始まり、今では「教育の充実」のように、現行法で対応できることまで改憲のテーマと化している。

　改憲の論点が拡散するにつれ、それぞれの論点が示している「その改憲が目指している政治や社会のありよう」に、明確な差異がみられるようになった。　例えば、現在の改憲論議の主要テーマである「緊急事態条項の創設」は、緊急事態に内閣（首相）が、国会などの監視を受けず自由に権力を行使できるようにする狙いがある。

　これに対し「首相の解散権の制約」という改憲テーマは、逆に首相（内閣の長）が自分の都合で勝手に衆院解散という権力を行使するのを防ぐ狙いがある。「国の権力行使のありよう」という点で、両者は真逆の方向性を持つ。

　私たちはそろそろ「護憲か、改憲か」という雑ぱくな改憲論議を離れる必要があると思う。テーマを細かく「仕分け」して「その改憲でどんな社会を目指すのか」を冷静に議論し、その上で合意形成の可能性の有無を探るべきだ。

■　枝野憲法審査会長に改憲派も護憲派も警戒感

　筆者の考えと完全に一致しているわけではないが、枝野氏も憲法論議のテーマを細かく分けて、順に議論する方法を採ろうとしているようだ（枝野氏自身はこれを「因数分解」と称している）。この点は一定の評価をしたい。

　枝野氏が区分けしたテーマの中に、前述した「衆院解散権の制限」がある。

　この1点について議論した時、審査会はどうなるだろう。野党の選挙準備が整わないうちに首相（党総裁）が衆院を解散することで勝利を続けてきた自民党は、解散権を縛る改憲に賛同できるのか。

　「臨時国会の召集期限」というテーマもある。

　筆者は国会法の改正でも対応は可能だと考えるが、何を隠そう、自民党自身が2012年、自らがまとめた憲法改正草案にこの項目（20日以内の召集を義務づける）を盛り込んでいる。　思い出すのは2017年6月、当時の野党が森友学園問題などについて審議するため、憲法53条に基づき臨時国会の召集を求めた時のことだ。当時の晋三首相はこの要求を3カ月放置し、臨時国会を召集した途端、冒頭で衆院を解散した。これを受け「野党議員が憲法に基づき臨時国会の召集を求めた時、内閣がいつまでに国会を召集すべきか、憲法に期限を明記すべきだ」という声がある。

　あの衆院選で勝利した自民党は、政権の対応を否定するかのような改憲に賛同できるのか。

　これまでの「護憲派」「改憲派」というイメージが揺れ動く可能性がある。そのことが理解され始めたのか、枝野氏の憲法審査会長就任には、従来の改憲派、護憲派を問わず警戒感が出ている。

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　前述した「首相の解散権制約」「臨時国会の召集期限」など、内閣の権力を削ぐ方向の改憲テーマについて、各党はどう対応するだろうか。改憲派、護憲派を問わず、「憲法」に力を入れてきた人たちほど悶絶するのではないか。

　まず気になるのは、改憲に前のめりな自民党などの動向だ。「政治を否定する」方向での改憲に抵抗を感じ、まさかの「護憲派」に転じるのか。

　それとも「何が何でも改憲したい」人たちが「このテーマなら一部の野党とも合意できる」と考え、9条や緊急事態条項を諦めても、このテーマのみでの改憲を目指すのか。

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　だが、もし「首相の解散権制約」だけを改憲テーマとすることで与野党が合意し、発議にこぎ着けたなら、それは自民党が長く目指してきた憲法改正が、一応の着地をみる、ということだ。「永遠の道半ば」だった自民党の改憲運動が終わるのだ。

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　「自民党の望まない改憲を発議する」ことで、長く続いた不毛な「晋三的改憲議論」を終わらせ、改憲論議自体を政治の主要課題から葬ることができるなら、護憲派にとっても悪いことばかりではないのではないか。（以下ソース）

3/18(火) 11:36配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/7a4d8e5ae72bf829bdee047b2e3015c2d1be82b7

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