『ラズ語トルコ語辞典』は2072ページ、重さ3.4キロの大冊。出版まで40年以上かかったのは、ただ研究や執筆に時間を要したからではないという。
著者はフランス在住57年の言語学者、小島剛一さん(78)。
数年前、「ひろゆきを論破した」とネット上で話題になったこともある人だが、小島さんの人生において、それはほんの小さな出来事にすぎない。
かつて「単一民族国家」を標榜していたトルコで、極秘に続けてきた少数民族の研究。憲兵や諜報機関による拘束、尾行、国外追放…。
なぜトルコで今、ラズ語の辞典が出せたのか。そのことは何を意味するのか。
そして、小島さんの身に起き始めた変化とは──。
◆「論破王を論破」の前から
辞典の話の前に、小島さんについて少し紹介したい。
1946年、秋田県生まれ。大学生だった1968年に留学して以来、フランス・アルザス地方のストラスブールに住んでいる。
1978年、トルコ語の方言研究によりストラスブール大で博士号を取得した。
フランス語やラズ語、トルコ語のほか、アルザス語や英語なども操る多言語使用者で、仏英日トルコの4言語で執筆した「ラズ語文法書・草稿」をネット上で公開している。
2021年7月、そんな小島さんの名前がネット上で広く知られる出来事があった。
ネット掲示板2ちゃんねる元管理人の「ひろゆき」こと西村博之さんを「論破」したとされる一件だ。
発端は、フランス代表サッカー選手による日本人差別発言。
フランスに住んでいる西村さんが独自のフランス語解釈を披露したが、小島さんは、その解釈が成り立たないことを「F爺」名義で運営する自身のブログで述べた。
すると西村さんは「若者言葉を知らない高齢者の方が『聞いたことが無いからフランス人は使わない』というのは勉強不足なだけ」と、小島さんの名前を挙げずにTwitter(現X)に投稿した。
小島さんは、これに徹底的に反論した。
西村さんの問題点を10項目にまとめた文章は「ひろゆき十戒」と呼ばれて拡散し、「論破王」と称される西村さんを「論破した」と話題に。Twitterでも関連語が軒並みトレンド入りした。
だが、そのずっと以前から、小島さんは知る人ぞ知る存在だった。
1991年の著書『トルコのもう一つの顔』(中公新書)が、あまりにも衝撃的だからだ。
◆二度の「国外退去」
序盤では、トルコ各地を旅する若き小島さんと、土地の人々との温かい交流が描かれる。
しかし、少数民族と交わり、政府による弾圧の実態を知り始めると、暗雲がたちこめる。
憲兵隊に突然拘束され、行く先々で尾行や妨害を受けながらも、極秘の調査旅行を続行。やがて、政府機関に表立って干渉を受けるようになり、監視付きの「調査許可」を得る。
東京新聞
2025年3月10日 12時00分
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https://www.tokyo-np.co.jp/article/388477
引用元: ・【ひろゆき十戒】トルコで少数民族言語の辞典を出した、日本人の身に起きたこと 在仏57年の言語学者・小島剛一さん [おっさん友の会★]
専門家に素人が挑んだ戦い
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