長期金利1.5%に上昇、15年9カ月ぶり　利上げ継続を意識

長期金利は1.5%を付けた後、1.505%まで上昇する場面があった。引き続き09年6月以来の高水準だ。

日銀の内田真一副総裁は5日、静岡県で開いた金融経済懇談会で挨拶した。「経済・物価の見通しが実現していくとすれば、それに応じて引き続き政策金利を引き上げ、金融緩和の度合いを調整していく」「想定される程度のペースの利上げであれば、経済の反応を確認しながら進めていけるだろう」などと話した。

市場ではトランプ米政権の関税政策などを巡る不透明感からリスク回避の動きもみられる。ただ、そうした中でも内田副総裁が利上げに消極的な「ハト派」姿勢を示さなかったことで、債券市場を中心に日銀の利上げ継続が意識されている。

長期金利は24年末には1.09%で推移していた。日銀が25年1月に追加利上げに踏み切り、その後の追加利上げも意識されていることから2月末には1.37%まで上昇した。銀行などの機関投資家が決算期末を迎える3月に入り新規投資の動きが鈍ったことで、長期金利に一段と上昇圧力がかかっている。

海外市場の金利上昇も日本の債券市場に波及している。5日には財政ルールの緩和を示したドイツの長期金利が2.8%前後に急上昇し、過去20年で最大の上げ幅となった。5日は米長期金利も上昇しており、日本国債にも売りが強まった。

岡三証券の長谷川直也チーフ債券ストラテジストは「投資家は期末前というタイミングの悪さや長期金利の上昇スピードの速さを考えると積極的に買いづらい地合いだ」と指摘する。市場では長期金利の上昇傾向はしばらく続くとの見方が強まっている。

日本経済新聞　2025年3月6日 9:23 (2025年3月6日 10:35更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB050QW0V00C25A3000000/