■以前から問題視されていた社会インフラの老朽化
石破茂首相は、施政方針演説で「令和の日本列島改造」を訴えた。
その後、間もなくして、埼玉県八潮市において大規模な道路陥没事故が発生した。その原因は、老朽化した水道管の損壊と言われている。
だとすると、確かに「令和の日本列島改造」は必要と言えるだろう。
水道管をはじめとする日本の社会インフラの多くは、昭和の高度成長期に整備されたものであり、それらの多くが更新時期を迎えているからだ。
言わば、「昭和の日本列島改造」の更新が必要になっているということだ。
だが、日本の社会インフラの更新は進んでいない。
水道管を例にとろう。厚生労働省によれば、耐用年数の40年以上使われている水道管は約2割であり、今後も増加すると見込まれている。
にもかかわらず、更新が進んでおらず、1年間の更新率は0.65%に過ぎない。また、すでに2022年度で全国で1万件を超える道路陥没事故が発生し、うち約2600件が下水道管に起因するものだという。
日本の社会インフラの老朽化は、以前から問題視されていた。
例えば、2012年に起きた笹子トンネル天井板落下事故においても、原因の一つとして設備の老朽化が指摘された。
それにもかかわらず、なぜ、社会インフラの更新は進められてこなかったのか。
言うまでもなく、日本の財政は危機的であるとして財政健全化が優先されたため、社会インフラの更新のための「財源」が十分に手当てできなかったからだ。
だが、もし財源がないというのであれば、せっかくの「令和の日本列島改造」も、絵に描いた餅ということになろう。
しかし、現代貨幣理論(MMT)を持ち出すまでもなく、自国通貨を発行できる政府において、財源が不足するなどということは起き得ない。そして、日本政府は、自国通貨を発行できる。
日本の財政には、社会インフラを刷新する余地が十分にあるということだ。
自国通貨を発行できる政府の財政は、破綻することはあり得ない。したがって、財政収支の均衡を基準とする「健全財政」ではなく、財政が国民経済に与える影響を基準とする「機能的財政」によって運営されるべきだ。
すなわち、財政赤字それ自体は「悪」ではない。それが国民経済に良い影響を与えるのであれば「善」である。そして、財政赤字は、将来世代へのツケではない。
将来、財政赤字を減らすために増税をする必要はない。増税するか否かも、それが国民経済に与える影響によってのみ判断するのが「機能的財政」だ。
ところが、日本は、長きにわたって「健全財政」に従って財政運営を行っており、財政赤字は将来世代へのツケだから抑制すべきだと固く信じてきた。
このため、社会インフラの老朽化が放置されてきたのである。
その結果が、笹子トンネル事故であり、八潮市の道路陥没事故である。これこそ、将来世代に回されたツケと言うべきであろう。
中野 剛志(なかの たけし)
1971年、神奈川県生まれ。元・京都大学大学院工学研究科准教授。専門は政治経済思想。1996年、東京大学教養学部(国際関係論)卒業後、通商産業省(現・経済産業省)に入省。
2000年よりエディンバラ大学大学院に留学し、政治思想を専攻。2001年に同大学院より優等修士号、2005年に博士号を取得。
2003年、論文‘Theorising Economic Nationalism’ (Nations and Nationalism)でNations and Nationalism Prizeを受賞。
https://news.yahoo.co.jp/articles/86cbb738ddc17ff655d12aed08a39cc00a692644?page=1
引用元: ・【元京都大学大学院工学研究科准教授・中野剛志】「財政健全化が優先されたため、社会インフラの老朽化が放置されてきた、その結果が笹子トンネル事故であり、八潮市の道路陥没事故だ」
男女共同参画に予算を使いすぎる自治体の問題だろうに
財政健全化が何を意味するのか
国債を発行しないというのなら
それは市場からお金が消えるということ
議員が腐っていっただけ
インフラでも何でも削減削減でこの20年やってきて、国民は支持したろ?そのツケが回ってきた
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