外装に木材の使用を提案されたがシャープに知見がなかったため、ゼロからのスタートだった。
「隈研吾建築都市設計事務所(KKAA)から最初のデザイン案を渡されたとき、外装に本物の木材を使用したいと言われた。だがシャープには木材を使用した経験がほとんどなかった。木材ではなく、当社に知見があるプラスチックで代替できないか、と考えたこともあった」
こう語るのは今回の開発を担当した、シャープSmart Appliances & Solutions事業本部デザインスタジオ課長の奈良俊佑氏だ。
空気清浄機「FU-90KK」の開発に当たり、シャープはKKAAと組んだ。外装に木材を使用し、高級家具をイメージさせることで、様々な上質空間に溶け込むようにした。
ベースとした既存の空気清浄機に外装として木材の縦格子を付けたデザインは、竹で編んだ簾(すだれ)のような窓「簾虫籠(すむしこ)」や「障子」といった日本の伝統的な意匠からの着想だった。木材にはホワイトオークの無垢材を採用し、角度を付けて縦格子として配置している。
表情の異なる縦格子を、木工職人の手で1本ずつ丹念に組み上げてつくっており、月産台数は100台。
発売して数カ月だが、国内だけでなく海外からの引き合いも多いという。ホテルなど業務用を想定していたが、富裕層が自宅に設置したいと問い合わせが来たこともある。
「実際にプラスチックで格子を試作したこともあったが、やはり木材の雰囲気にはかなわないと分かった」と、奈良氏は木材の使用に転換。
木材には安らぎや美しさ、味わいなどがある一方、品質や強度に不安もある。木目調ではなく本物の木材を使用することはシャープにとって、未経験分野への挑戦だった。
日経Xtrend 2025/02/06
https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/18/01117/00003/
引用元: ・シャープ「木を使った空気清浄機」開発の舞台裏 隈研吾氏とコラボ [おっさん友の会★]
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