経済大国の米国が関税を強化すれば貿易が停滞し、国際経済の成長の鈍化は避けられない。トランプ氏は就任演説で「米国民を富ませるため」と述べた。関税を脅しのように用いる手法に一定の手応えを感じていよう。
しかし、国際的に孤立すれば国民のためにはならない。一方的な政策を改めるべきだ。貿易戦争を回避し、国際協調を重んずる必要がある。
大統領選でトランプ氏は米国への全輸入品に10~20%の関税を課す方針を掲げた。就任するとメキシコとカナダからの輸入品に25%の関税、中国には10%の追加関税をかける大統領令に署名した。
メキシコ、カナダとは4日からの適用を前に両国首脳と協議し、土壇場で回避した。関税措置の理由に不法移民や合成麻薬「フェンタニル」のメキシコ、カナダからの流入を挙げていた。これらの対策として、首脳協議で国境での監視強化を図ることなどで合意し、関税発動は1カ月猶予された。
高関税を掲げる米国に両国が折れた形ではある。トランプ氏としては狙い通りに譲歩を取り付けた。しかし、関税を取引材料とする手法は禍根を残すだけだ。事実、メキシコ、カナダは報復措置として米国製品に関税を課す方針を示していた。中国は世界貿易機関(WTO)に提訴し、報復関税を課す。
一方的な関税措置は自由貿易の理念にも反する。通商協定「米国・メキシコ・カナダ協定(USMCA)」によって、一定の条件を満たせば、米国はメキシコとカナダからの輸入品に関税をかけていない。米国の国・地域別の輸入額はメキシコが1位で、カナダが3位である。
関税が発動された中国が2位。世界最大の経済大国である米国を軸とする4カ国の貿易が関税を巡る対立で滞ることになれば、世界経済に与える影響は深刻だ。
さらにトランプ氏は経済協力開発機構(OECD)を中心に進んでいた国際課税改革から離脱する方針だ。巨大IT企業などの税逃れを防ぐ国際的な改革の枠組みからの離脱だ。気候変動対策の国際枠組み「パリ協定」からの再離脱へ手続きも進めている。
このタイミングで日米首脳会談が行われる。石破茂首相は米国の高関税政策について「世界の自由貿易への影響を精査したい」と述べている。
大統領選での表明通り、米国が全ての輸入品に10~20%の関税を課せば、日本の農林水産物・食品の輸出にも打撃となる。2国間のパートナーシップを自負する関係性であれば、国際協調に逆行する米国の姿勢をいさめるべきだ。
琉球新報 2025年02月05日 04:00
https://ryukyushimpo.jp/editorial/entry-3931370.html
引用元: ・【琉球新報/社説】米国の高関税政策 貿易戦争避け国際協調を [2/6] [右大臣・大ちゃん之弼★]
あのおっさん飲まへんけどな
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