引用元: ・リベラルは“死んだ”のか? 復活への処方箋は…世界各国の「リベラル」凋落が著しい [662593167]
◆個人の自己決定権を重視 そもそも「リベラル」とは何か。社会科学には「本質的に論争的な概念」という用語があるが、多種多様な意味合いで用いられてきたリベラルないしリベラリズムも論争的な概念だ。価値的には、個人の自己決定権を重視する立場をリベラルと同義とすることができるが、歴史的には次の五つの価値観として捉えられてきた。1.政治権力を制約する立憲主義的なリベラリズム、2.自由貿易など、商業の自由を擁護する経済的なリベラリズム、3.社会の基盤に個人を据える個人主義的なリベラリズム、4.社会保障や環境権などを重視する社会的なリベラリズム、5.人種やジェンダーなどマイノリティーの権利擁護を主張する寛容的なリベラリズムの5つである。現代のリベラルも、これらいずれかの価値に基づくものがそう呼称されている。
いずれのリベラリズムにも共通するのは、その祖先である啓蒙(けいもう)主義と同様、人智や能動的な働き掛けによって、社会変革や状況改善が可能になるという信念や展望に基づくものであることだ。ここから、リベラルは進歩的な歴史観を持つものであるという、さらなる特徴が浮かび上がる。例えば、グローバル化を推進するための政策は、ヒト・モノ・カネの自由な移動が社会の厚生を高めることになるからだし(上記2のリベラリズム)、個人の権利の拡張はその個人が持つ能力が開花することで、社会的・経済的発展が望めると考えるためだ(上記3、5のリベラリズム)。こうした主張が日本でしばしば「意識高い」や「上から目線」と揶揄(やゆ)されるのも、リベラルが社会工学的な発想に基づく思想や態度だからである。
コメント