https://news.yahoo.co.jp/articles/9e88af1ebc54fae665dc28201fa12f8be66200e1
引用元: ・「BEVじゃ無理がある」 東南アジアは「エンジン車回帰」が始まっている [662593167]
■マレーシアのEV普及率は公称25%だけど実際は1.3%!?
一時期は「BEV天国」とも言われていた東南アジアだが、最近は再びガソリン車への回帰が始まっているという。とくに、日本製のハイブリッドカーは評判が良く、売れ筋商品だとのことだ。
東南アジアでいち早くめざましいBEV(バッテリー電気自動車)の普及を見せたのはタイといえるだろう。新型コロナウイルスの感染拡大も落ち着いた2022年に久しぶりにタイの首都バンコクを訪れると、中国上海汽車系のMGブランドのBEV“MG ZS EV”が街なかで目立っていった。
その後2022年末に中国BYDオート(比亜迪汽車)がタイ市場への参入を表明、この前後にGWM(長城汽車)など多くの中国系BEVブランドがタイ市場に参入すると、バンコク市内でBEVを見かける頻度は一気に拡大していった。
「2024年12月にバンコク近郊で開催された“第41回タイ国際モーターエキスポ2024(通称バンコクモーターエキスポ)”には、中国系13ブランドがブースを構えました」とは事情通。ただ、そのタイにおけるBEV販売台数は2024年1月から11月の累計販売台数でみると、2023年1月から11月の累計販売台数比で3.4%減となっている。需要も一巡し、中国系ブランド同士での激しい値下げや値引き合戦も展開され、再販価値を気にする消費者が多いなかで“BEV離れ”が加速しているとの声もある。
また、2024年夏あたりのタイ北部の大洪水やバンコク市内で発生する大雨による道路冠水などを見て、あくまで感覚的なものとして、「我われの国でBEVは無理があるのでは」と考える人も目立っているようである。「“タイのひとが熱(BEVブーム)から冷めた”とも地元ではいわれています」とは事情通。
インドネシアでも暦年締め新車販売台数において、2022暦年締め比で2023暦年締めでの年間BEV販売台数は65.2%増えて1万62台になったとはいえ、新車販売全体の1.6%にとどまっている。
それではマレーシアはどうかといえば、2024年12月4日にクアラルンプール国際モビリティショー(KLIMS)会場で行われた、同ショーの開幕式に出席したファディラ・ユソフ副首相が壇上で、マレーシアをBEV生産について東南アジアのハブにしたいと話し、普及にも積極的な姿勢を見せている。
クアラルンプール市内のある新車ディーラーでは「BEV普及率は25%」という話もあったが、これだと街を走るクルマの4台に1台はBEVということになるが、筆者の目にはとてもではないがそんな頻度でBEVは視界に入ってこない。
JETRO(日本貿易振興機構)の資料によると、2023暦年締め年間新車販売台数でみると、HEVも含めた“xEV”としてもシェアは4.8%、BEVだけに絞れば1.3%になるとしている。1.3%といってもクアラルンプール首都圏に集中していると考えると、筆者の視界に入るBEVの頻度としてはこちらのほうが正しいものと考えられる。
■中国メーカーもKLIMS会場にHEVやPHEVをもち込む
KLIMS会場内にブースを構えた中国系ブランドはGAC(広州汽車)、AION(広州汽車系BEVブランド)、GWM(長城汽車)、MG(上海汽車系)のみであった。ほかにはBYDオート(比亜迪汽車)、チェリー(奇瑞汽車)、NETA(哪叱汽車)などが市場参入している。マレーシア国内でのBEV販売トップ3はほぼ同台数で、テスラ・モデルY、BYD ATTO3、BYDシールとなっており、マレーシアでもBYDが強みを見せている。
ローコストBEVとしてタイでも一時爆発的に売れたNETAは2023年末にマレーシアに市場参入しているので、前出の統計ではほとんど売れていない結果になってしまっているが、これが2024暦年締めでの年間販売台数でどこまで伸びを見せているかというものが興味のあるところ。
売れ筋のBYD ATTO3のマレーシア価格が14万9800リンギッド(約510万円)と、日本やタイよりもやや高めとなっている。マレーシアの平均年収が133万円(日本は調べると461万円)なので、平均年収の約4倍の価格のATTO3がよく売れているということは、かなりの高所得者層がユーザーとなっているものと考えられる。NETAでも廉価版で約410万円ということを考えると、充電インフラが十分ではないことも含めて、“ローコストEVで爆発的に普及させる”というフェーズには至っていないように見える。
話を聞く限りは「とにかくマイカーがほしい」といったエントリーレベルのお客が多いなか、所得に余裕があり夫婦共働きで複数保有している家庭も少なくなく、新車需要の二極化が進んでいる。複数保有家庭ではそのなかの1台をBEVにしてみようかというニーズもあるようだが、それでも日系HEV(ハイブリッド車)へ流れるケースのほうが目立っているようである。事実、ショー会場でもGWMやMGはHEVあるいはPHEV(プラグインハイブリッド車)のほうを目立つように展示していた。
政府としては次世代を見据えてBEVに傾倒していきたいのだろうが、マレーシアの現状を見る限りは、日本メーカーの燃費性能そして燃焼効率に優れた純粋なICE(内燃機関)や、得意分野のハイブリッドユニット搭載車を、例えばダイハツ系モデルを生産する国民車ブランド「プロドゥア」では、ダイハツの「eスマート」ユニットを積極搭載させていくという方向もありなのかもしれないと見ている。
今回のKLIMSで日産がキックスのeパワーユニット搭載モデルを発表したが、このあたりが現実を見据えた正しい流れなのかもしれない。
仕方ないね
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