また、2023年3月に学術誌「サイエンス」に掲載された論文では、1990年代以降は多くの国で、50歳未満での大腸がんの発生率が毎年2~4%ずつ増えており、30歳未満ではより顕著だという。
増加の理由は明らかになっていないが、「サイエンス」の論文では環境や遺伝などさまざまな説が挙げられている。また、検診受診率の低さや、がんを疑わないことによる誤診も原因の一つと考えられる。
「大腸がんは、もう高齢者だけの病気と考えるべきではありません」と話すのは、米ハーバード大学医学大学院教授で米マサチューセッツ総合病院消化器科副医長のアンドリュー・チャン氏だ。
特に心配されるのは、病状が進行した状態で診断される事例が増えている点だ。
「大腸がんの予防と早期発見には、大腸内視鏡というすばらしいツールが役立ちます。実際に(がんになる前段階の)前がん病変を見つけて取り除くことができるからです」と、米がん協会(ACS)でがん統計調査の上級科学ディレクターを務めるレベッカ・シーゲル氏はそう話す。
早い段階で発見できれば、5年相対生存率は90%にのぼる。
シーゲル氏が著者の1人を務め、ACSが2023年3月に医学誌「CA: A Cancer Journal for Clinicians」に発表した論文でも、米国では55歳未満で診断された人の割合が1995年の11%から現在は20%まで増加していた。
大腸がんにかかる人がより若い人で増えていることを受け、米予防医学専門委員会(USPSTF)は2021年5月に、検診を受け始める推奨年齢を50歳から45歳に引き下げた。
だが、シーゲル氏によると、大腸がん患者の約3人に1人は家族に病歴がある人だ。そのため、危険因子を持つ人にはさらに早くからの検診を勧めている。
「再び減少傾向に変わるまでは、適切な戦略を検討し続ける必要があります。より若い年齢での発症の増加を何とかしてくい止めなければなりません」とチャン氏は言う。
より若い年齢で発症する原因と考えられがちなのは生活習慣だが、実際にはそれほど単純ではない。シーゲル氏によれば、過体重は大腸がんのリスクを増やす要因となるものの、過体重が原因と見られる大腸がんは約5%にすぎない。また、過体重は主に、ACSの論文で増加傾向が見られた大腸の左側ではなく、右側の腫瘍と関係している。
さらに、過体重は女性よりも男性で大きなリスク要因となることがわかっている。しかし中年以下の層では、男女による傾向の違いは見られなかった。
「食事、肥満、運動不足が増加に関係している可能性がありますが、それだけではありません」とチャン氏は言う。
「まだ明らかになっていない要因があり、実際に注目すべきはそれらだと考えています。それらの要因にこそ、発症率の低下に大きく貢献する可能性があるのです」
ジアナキス氏は「サイエンス」の論文で、その要因の候補として砂糖入りの飲料や赤身加工肉の消費量が増えたことを挙げている。
他にも、抗生物質や、環境毒素がより広く用いられるようになったこと、帝王切開などの外科手術を受けた人の割合の増加などが考えられるという。
これらすべての要因は、「微生物叢(そう)」(マイクロバイオーム)に影響を与えるという点で共通している。マイクロバイオームとは、人間の消化器官に生息する細菌などの微生物の総体を指す。
米ユタ州で医療サービスを提供する非営利団体インターマウンテン・ヘルスケアで消化器腫瘍の責任者を務めるマーク・A・ルイス氏によると、より若い世代で発症する症例の少なくとも一部は、小児期や青年期に抗生物質を使ったことと関連しており、この点は2019年に医学誌「Gut」に発表された英国での研究でよく示されているという。
若い世代の大腸がんで特によく見られる症状は、腹痛、原因不明の体重減少、便の頻度や大きさや外見の変化、直腸出血だ。これもASCの論文によると、直腸出血は50歳未満の患者では41%で見られるのに対し、50歳以上では26%だ。
「若い人は、自分は若くて健康だから、多少の症状があっても一過性で心配はないと考えがちです」とチャン氏は言う。シーゲル氏は、直腸の症状は人に話しにくいので、恥ずかしさを克服することも重要だと述べる。
引用元: ・【若い世代で大腸がんが増加】米マサチューセッツ総合病院消化器科副医長 「大腸がんは、もう高齢者だけの病気と考えるべきではありません」
大腸がんの罹患(りかん)率や死亡率の傾向が年齢層によって違うように、人種や民族による違いもある。こういった違いは、リスクの高さと検診受診率の低さ、そして医療機関への受診のしにくさが影響している可能性が高い。
シーゲル氏が注目しているのは、世界で最も大腸がんの罹患率が高いのがアラスカ先住民であることだ。白人に比べて罹患率は2倍以上、死亡率は4倍近く高い。
人種別、民族別に見て、死亡率が減少していない唯一のグループであり、しかも毎年2%ずつ増えている。また、大腸がんはアラスカ先住民で最も多く診断されるがんであり続けている。
シーゲル氏の研究によると、リスク要因と考えられるのは、日光を浴びる時間が少ないことに起因するビタミンD不足や、喫煙、肥満、薫製魚が多く繊維や果物や野菜の少ない食生活などだ。
米国の黒人は、罹患率と死亡率の差がより際立っている。罹患率は白人より21%高いが、死亡率は44%も高い。
転移が見られる大腸がんだと2016~2018年に診断された患者の3年生存率は全体で30%と、10年前の25%から上昇しているが、黒人患者に限れば22%で停滞している。
シーゲル氏らは、進歩した治療にアクセスしにくいためではないかと考えている。
同様に地理的な違いにも、少なくとも部分的には、喫煙率や肥満率の高さ、収入や医療機関へのアクセスのしにくさが関係しているとシーゲル氏は指摘する。
罹患率と死亡率がともに最も低いのは米国西部で、最も高いのはアパラチア地方と一部の南部や中西部だ。
「郡単位で貧困率と大腸がんによる死亡率をまとめた地図を見れば、驚くほどよく似ていることがわかります」とシーゲル氏は言う。
収入が低いほど肥満や食生活の質の低下がよく見られるのは、加工食品の方が生鮮食品よりも安く、腐りにくいからだという。
内視鏡で精密検査を受けた
一週間かけて繊維質を避けた食事をとり、医者の目の前にケツだけ出すという屈辱
検査の結果は異常なし
もうタダでも検便は出さん
糖分取りすぎ
塩分取りすぎ
太りすぎ
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