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国際刑事裁判所の赤根智子所長、寄稿全文…「法の支配」逆行に危惧・ICCは非常事態
2024/12/13 05:00
国際刑事裁判所(ICC)の赤根智子所長が来日にあたり、ICCの存続危機について本紙に寄稿した。
◇被団協の平和賞受賞、希望の灯
今年6月、広島の原爆死没者慰霊碑の前に立った時の決意を忘れまい。その3か月前、私は戦争犯罪や人道に対する罪などを犯した個人の刑事責任を追及する国際刑事裁判所(ICC、オランダ・ハーグ)の所長に就任した。そして今月には、被爆者団体「日本原水爆被害者団体協議会(被団協)」がノーベル平和賞を受賞した。被団協の長年の努力が報われる喜びは大きい。
受賞によって世界で唯一の戦争被爆国の被害者・遺族の終わることのない苦痛や苦悩にようやく一筋の光があてられ、人類全体の記憶に刻みこまれたのだ。被害者の尊厳の回復、悲惨極まりない被害が二度と繰り返されないことへの誓い、そして希望の 灯ともしび となった。
私が日本人として初めてICCの所長に選出されたのは、戦争の惨禍を乗り越え、国民が尊厳を取り戻し、平和国家として見事によみがえった日本に対する強い信頼と期待があるからであると感じることが多い。
任務完遂まで諦めない
日本から選出された裁判官としての誇りを持って任務を完遂するまで、どんな困難に直面しても決して諦めないと自分自身に誓う日々である。裏を返せば、この任務を諦めればICCは存続できなくなり、ICCの目指す国際社会における不処罰との戦いは敗北に終わり、正義が「死」を迎えるのを容認することとなるとの切迫した思いがある。
ICCは設立文書(ローマ規程)の前文にある通り、「二十世紀の間に多数の児童や女性、男性が、人類の良心に深く衝撃を与える想像を絶する残虐な行為の犠牲者となってきた」からこそ作られた国際刑事司法機関(裁判所)である。
引用元: ・ICC・国際刑事裁 赤根智子所長 日本は法治と秩序を外交の柱とする大国 [618719777]
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