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同居する当時79歳の母親が、自宅で死亡しているのを知っていたにも関わらず、およそ半年間にわたり遺体を放置したとして、死体遺棄の罪に問われた女の裁判です。うなりながら苦しむ母親を1人で看取ったという娘。なぜ救急車を呼べなかったのか、その一部始終を語りました。
死体遺棄の罪に問われているのは、富山市上二杉のパート従業員の女(57)です。
起訴状などによりますと、女は、去年8月10日ごろ、同居する当時79歳の母親が、自宅で死亡しているのを知っていたにも関わらず、翌年2月までのおよそ半年間、遺体を放置したとされています。
5月9日、富山地方裁判所で開かれた初公判。女は起訴内容を認めました。
検察側の冒頭陳述などによりますと、女は、高校卒業後、職を転々とし、犯行当時は食品会社のパート従業員として働いていました。
婚姻歴はなく、3歳のころに父親を病気で亡くしてから、母親と2人暮らし。富山市上二杉の家には約30年前から住み始めました。
2人の関係は良好で、女は自分の給料を母親にすべて渡し、毎月小遣いをもらって生活していました。
母親は、病気のため通院していて、去年春ごろから杖をついて歩くようになりましたが、亡くなる直前まで、女を職場まで車で送迎し、めだった体調不良はなかったといいます。
■うなりながら苦しむ母親…それでも救急車を呼べない理由
母親の容態が変わったのは、去年8月9日のこと。顔にしわを寄せ、痛みに苦しんだ様子で「熱っぽくて頭が痛い」と女に訴えてきました。
その翌日、女が仕事から帰ると、母親は2階の部屋に敷かれたマットレスの上で、うなりながら苦しんでいたといいます。女は熱中症を疑いましたが、「ごみで散乱した部屋を見られるのが恥ずかしい」などと思い、救急車を呼ばず、部屋の窓も開けず、1人で看病をしました。
そして午後8時ごろ、母親が呼びかけに反応しなくなり、息をひきとったのを自分で確認したといいます。
■遺体を放置した半年間…欠かさなかった「いってきます」と「ただいま」
母親が亡くなった後も、女は、2階に遺体を放置したまま、普段通りの生活を送っていました。
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引用元: ・母親の遺体と半年間…放置した娘の裁判 うなりながら苦しむ母親を1人で看取る [582792952]
遺体が傷まないよう、涼しくなる9月下旬ごろまで、氷水で冷やしたタオルを顔にかけたり、扇風機の風を当てたりしていたといいます。また、外出するときには、生前の習慣だった「いってきます」「ただいま」と呼びかけて家を出たといいます。
事態が一変したのは、年が明けたことし1月。
周辺住民から「女の母親の姿が見えない」と相談をうけた、地区の民生委員や区長らが、複数回にわたって女の家を訪問しましたが、2人に会うことはできませんでした。
1月31日には、安否をたずねる手紙を投函。2日後、女は電話で「母は元気です」と答えましたが、2月23日、不審に思った民生委員が、地域包括支援センターに連絡、警察に通報し、自宅を訪れたことで事態が発覚しました。
警察が女の勤務先に連絡すると、女はしばらく沈黙した後「本当に元気なんです」「心配しないでください」「けさも8時頃、一緒に朝食をとりました」などと繰り返したといいます。
■月15~16万円で家計やりくり…部屋にクーラーつけられず
弁護側からの被告人質問。
2か月に1度支給される母親の年金は10~11万円、女の月収は10万円前後。女は自分の給料を母親にすべて渡し、毎月小遣いをもらって生活していたといいます。
女は時折言葉を詰まらせながら、ゆっくりと質問に答えていきました。
弁護人:「(収入は)2人あわせて月15~16万円ということですか?」
女:「はい」
弁護人:「交流のある親戚はいましたか?」
女:「いなかったです」
弁護人:「友人は?」
女:「いませんでした」
弁護人:「母親の部屋にクーラーはありましたか?」
女:「クーラーはありませんでした」「購入するお金がなくて」
弁護人:「部屋のゴミ捨てや掃除はできていましたか?」
女:「できていなかったです」
弁護人:「虫や、においが発生していましたか?」
女:「発生していました」
■濡れタオルを遺体にあて「一生懸命ケアしてあげていた」
弁護人:「母親は亡くなる当時、うなって苦しんでいたにもかかわらず、なぜすぐ消防に通報しなかったのですか?」
女:「ショックで、動揺していて、できませんでした」弁護人:「部屋の中を見られたくない気持ちもありましたか?」
女:「そうです」
弁護人:「遺体に対して何かしたことはありましたか?」
女:「氷水でタオルを冷やして(遺体にあてて)一生懸命ケアしてあげていました」
弁護人:「どうしてですか?」
女:「傷ませたくなかったので」「涼しくなる9月ごろまでずっと続けていました」
弁護人:「遺体に近づいたことは、それ以外にありましたか?」
女:「『いってきます』『ただいま』のあいさつをしたかった」
弁護人:「ずっと続けていましたか?」
女:「続けていました」
遺体は腐敗していき、次第に死臭が漂うようになったといいますが、女は「外に漏れたらまずい」との思いから、換気をしなかったといいます。
■遺体を前に”気の毒” ”後悔” 一方で「お金に困っていた」
弁護人:「半年近く、警察や消防に通報しなかったのはどうしてですか?」
女:「…」「他人に(部屋が)汚れているところを見られたくなかったから」
弁護人:「あとは?」
女:「…」
弁護人:「責められるのではないかとも思いましたか?」
女:「心配、不安がありました。それで連絡できなかった。時間が経つにつれて連絡しにくくなってきたので」
弁護人:「通報しなかった理由として、年金が入って使うことができることもありますか?」
女:「…」「経済面に困っていたので年金があれば生活できると思いました」
弁護人:「埋葬にお金がかかることが心配でしたか?」
女:「その心配もとてもあったので。お金がなくて困っていたので」
母親の死後、女は自分で家計を管理するようになり「自分の給料だけでは生活できない」と気づいたといいます。
弁護人:「1月末に、地区の民生委員から『母親の安否を確認したい』と手紙がありましたよね。あなたは『母は元気です』と連絡しましたが、実際、ことし2月は元気でしたか?」
女:「2月は…」
弁護人:「亡くなっているのに嘘をついた?」
女:「町内の人たちに責められたくなかったので」弁護人:「母親を埋葬する気持ちや予定はありませんでしたか」
女:「したい気持ちはあったんですけど、お金がなかったのでできませんでした」
弁護人:「8月10日ごろ、母親が亡くなって変わり果てていく姿を見てどう思いましたか」
女:「気の毒…気の毒な気持ちでいっぱいでした」
弁護人:「後悔していますか?」
女:「後悔しています」
■「娘想いの、思いやりがあった、良い母でした」
続いて行われた、検察官からの被告人質問。
検察官:「母親を6か月以上放置した、どこかに連絡しようと思ったことは?」
女:「当時はショックで、気が動転していて、何もできなかった」
検察官:「6か月間、考えたことはなかった?」
女:「私自身、考えてみたんですけど…不安が大きく募って連絡しませんでした」
検察官:「民生委員に打ち明けられなかった?」
女:「責められたくないという気持ちが」
検察官:「母親の気持ちを考えたことは?」
女:「考えました」「母はしっかりとした良い人だったので。娘想いの、思いやりがあった、良い母でした」
検察官:「どういう対応をとってほしかったと想像しますか」
女:「私と一緒に仲良く生活したかったのでは。明るい生活」
検察官:「亡くなった後は?どう思いますか?」
女:「…。埋葬とかしてあげたい気持ちも考えたんですけど、経済面に困っていて。年金では足りなかったので。貯金したいと思っていたので。埋葬できなかったです」
■「寂しがりやなので、一緒にいてあげたいという気持ちでした」
検察官:「お金の都合や、責められたくないという気持ちを優先した?」
女:「はい」
検察官:「警察が来なかったらどうするつもりでしたか」
女:「…。寂しがりやなので、一緒にいてあげたいという気持ちでした」
検察官:「どこかに申告、連絡する予定は?」
女:「お金の面で困っていたので、足りなくなってくると思って。そういうのを優先しながら生活していました」
検察官:「今後の生活について」女:「自分で生活設計を立てながら生活していきたいと思っています」「貯金です。貯金をしていきたいという考えを含めながら、自分で今後も生活していきたいです」
女は、119番通報や、遺体の埋葬などの必要な措置を講じなかった理由として
▼ゴミで散乱した部屋を見られたくなかったから
▼埋葬費用を捻出できないから
▼母親の死が発覚すれば、年金がもらえなくなり経済的に困るから
などと話しました。
その後、検察側の求刑がありました。
検察側は、遺体を不衛生な状態で半年間放置した女の対応は、死者の尊厳を踏みにじる悪質な犯行だとして、懲役1年を求刑。
一方、弁護側は、女は周囲に相談できず、孤立状態だったことや経済的不安を抱えている点に考慮した、寛大な処分を求めました。
裁判長に、最後に言いたいことを問われると…。
女:「特にありません」
裁判は即日結審しました。
そして5月16日に行われた、女に対する判決公判。
富山地裁の長島銀哉裁判官は、遺体を放置していた期間は6か月と長く、早期の段階で通報したり、公共機関などに相談することは可能だったとしながらも、女が反省の弁を述べていることや、前科がないことを考慮し、懲役1年、執行猶予3年の有罪判決を言い渡しました。
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