「旧石器発掘捏造」　“ゴッドハンド”藤村新一氏が、なぜ自らの指をナタで斬り落としたのか

事件は、新聞のスクープによって暴かれた。

〈旧石器発掘ねつ造〉
そんな大見出しが「毎日新聞」朝刊1面に躍ったのは00年11月5日。遺跡発掘の場で次々に石器を発見し「ゴッドハンド」と讃えられていた
藤村新一氏（68）が、あらかじめ土中に石器を埋め込む決定的瞬間を捉えた写真付きで報じられたのだった。

渡辺雅春・毎日新聞北海道センター社長が振り返る。

「捏造を認めたのは2カ所のみでした。ところがその後の調査で、藤村氏が関わった計162の遺跡で捏造があったと、日本考古学協会が断定するに至ったのです」

藤村氏は、その数週間後、精神病院に入院。妻とは離婚し、入院中に知り合った16歳年下の女性と03年5月に再婚している。

「妻の実家のある福島県南相馬市に移り、一時期はNPO法人で働いていましたが、10年秋に退職。東日本大震災で被災し、
避難生活を送っていた時期もありました」（関係者）

2010年に「週刊新潮」は藤村氏にインタビューしている。

「これは、僕が自分で斬り落としました。7年ほど前、当時の自宅の裏山をフラフラ歩いているうち、突然、“こんな指があるから悪い。
2度と悪さができないようにしないと”と思い込んだのだと思う。木の根に右手の2本の指を置いて、左手に持ったナタで一気に叩き斬った」

「物凄く痛くて、血も大量に出ました。タオルや手ぬぐいで自分で血止めをし、しばらくして医者に行きましたが、“血が止まらなければ
死んでいたかもしれない”と言われた。その時の僕は、死んでも構わない、と思っていたのかもしれません。右手を見ると
あの時の血と痛みを思い出すので、いつもポケットに入れているんです」

藤村氏は現在、74歳になっている。自らの過去を今、どのように振り返っているのだろうか。

https://news.yahoo.co.jp/articles/fb8fa1d996873f7f35bf6f050b6887df8212ab15