「生活保護はやっぱりね、抵抗があったよ。負け組じゃないかって。でも友達に『抵抗を感じている場合じゃないよ』って言われて、これが俺の現実なんだってわかった。実際、もうシャレにならない状況だったから。電気とガスは一年くらい通ってなかったし、夜は単三電池式のランタンを点けて生活して、シャワーは冷水で。水だけは死守したけども」
生活保護の受給前は、ブックオフに本やCDを売って、日銭を稼いでいた。
「毎日、馬鹿みたいにブックオフ通って、売っても200~300円とか、二束三文にしかならないよ。大事なスティーリー・ダンっていうアメリカのロックバンドのアルバムアナログも売っちまって。でも1800円ももらえたから、うれしかったなー。地元のタメくらいの不良おっさんと河原で酒を飲みながら『今日なんぼ売れたんだ?』って話したりして。そのおじさんも生活保護者になってたわ。
メシは、フードバンクを利用したりしてね。あと、働いたりもしたよ。生活保護もらいに役所に行ったら、暮らし相談室の人に『まずハローワークいこう』と。かったるいなと思いながら、タワマンのゴミ清掃のバイトやったけど、6日でやめた。漫画の取材だと思ってがんばろうと思ったんだけど、体がついていかなかったわ。帰ってきたら倒れるように寝てた」
直近の大きい仕事は、1年前。実際の障害者殺傷事件を題材にした原作の映画『月』で、劇中画を担当した。植松聖死刑囚にあたる、磯村勇斗さんが演じる青年が描く絵だ。植松聖死刑囚は、絵が得意だったことで知られる。
「いままで映画に携わったときは、告知してたけど、今回はあんまり胸を張ってやりましたって言えなかったよね。久しぶりの仕事でありがたかったけど、作業しているときは、引き受けるんじゃなかったって思った。頼まれた仕事とはいえ、やっぱり拒否感があったから。
植松(死刑囚)が書いた絵とか大嫌いだし。いろいろ資料をもらいましたけど、これを真似して描くのは絶対嫌だった。一番マネしたくなかったのは、ブッダみたいな宗教家もどきの画。なにも信仰もないのに、宗教画を迂闊に描くのは冒涜だよなって。
家賃はかからないため、生活保護費は食費や水道光熱費にあて、最低限の生活は取り戻した。いま一日をどんなふうに過ごしているのだろうか。
「一日、ほぼ散歩してます。朝10時に目がさめて、どこでタバコ吸おうかなって考える。俺、持論があって、煙草は健康にいいってこと。煙草があるから外に出たいと思えるし、ニコチンを全身に回らせると、脳が冴えた感じがするんだよな。煙草は一日1.5箱。お気に入りの場所とか、ここで吸ったことないなって場所を探して、お昼にスーパーで弁当を買って食べて、また午後に散歩して、夜用の弁当を探しに隣町まで行く。地元にも同じスーパーあるじゃんって思うんだけど(笑)。でも、ここで買ったっていうのがいいんだよね」
詳しくはこちら(抜粋)
https://news.livedoor.com/article/detail/27455666/
引用元: ・「煙草は一日1.5箱」生活保護を受給する58歳男性漫画家が「後悔はない」と語る理由
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