「ブドウ界のアイドル」「ブドウ界のエルメス」「貴族のブドウ」などと呼ばれ、高級フルーツ市場を掌握してきたシャインマスカット。一時は一房(約500グラム)で5万ウォンという超高値にもかかわらず、飛ぶように売れた。「シャインマスカットのせいで通帳がゼロになった」という証拠写真付きのSNS投稿も見られた。
シャインマスカットは高値にもかかわらず、希少性、糖度の高さ、シャキシャキとした食感、マンゴーのような香りで消費者を魅了した。しかし、誰彼構わず栽培に参入し、供給量が増え、単価が下落した。農家は過度に栽培面積を増やし、十分に生育していないブドウの木から収穫した物まで発売した。味が落ちたのは当然だ。消費者は「糖度が前よりも劣り皮も硬い」と不満を述べた。
流通業界はシャインマスカットの王座を継ぐ新しいブドウの新品種探しに血眼になっている。地元の農業研究所も品種開発に拍車をかけている。流通業界関係者は「イチゴ、リンゴなど、フルーツを品種別に選んで食べる消費者が増え、特にブドウは品種によって風味と味が明らかに異なり、他のフルーツよりもそうした傾向が目立つ」と話した。
■日本「ルビーロマンは奪われまい」
「ルビーロマン」はポストシャインマスカット時代に王座を獲得する最有力候補だ。世界で最も高価なブドウとして知られる。驚くなかれ、 2016年には日本の卸売市場での競りで1房110万円で落札された。実の数は30個ほどなので、1粒3万7000円という計算になる。ルビーのように赤いブドウの実は直径が3センチで卓球ボールほどある。 そして糖度も高い。
しかし、ルビーロマンは暗礁に乗り上げ、躍進できずにいる。石川県は「14年にわたって開発したルビーロマンが韓国に無断で流出した」とし、韓国国立種子院に品種名称登録の取り消しを申請した。韓国ではある種苗会社が2021年にルビーロマンという品種名を登録した。正確なルートは不明だが、何者かがルビーロマンの苗木を中国に密かに流出させ、韓国の農業関係者が中国から持ち込んだと推定される。
石川県はその後、韓国特許庁にルビーロマンの商標登録を申請したが、同庁は今年1月にそれを却下した。石川県は「(国立種子院への)品種名称登録取り消し手続きが進んでいる」と主張し、審査保留を要請し、特許庁は7月に受け入れた。2021年に既に品種名が登録され、農家31戸が生産・販売中であるため、登録取り消しの可能性は低いとみられる。
しかし、流通業界は万一問題が生じるリスクを冒してまで販売には乗り出さない構えだ。百貨店関係者は、「3年前にルビーロマンのイベントを開いたが、商標問題以後はやっていない」と話した。
■新品種相次ぐ戦国時代
日本が積極的に対応しているのは、「シャインマスカットを韓国に奪われた」という痛恨の過去があるためだ。シャインマスカットは1988年に日本で開発したが、人気になると予想できず、韓国の国立種子院に商標権登録を行わなかった。
同じ時期に慶尚北道金泉市の農家が持ち込んで栽培し、2014年に国立種子院に生産販売を届け出た。日本にシャインマスカットのロイヤルティーを払わなくてもよいのはそのためだ。シャインマスカットは海外市場でもブームになっており、韓国は日本の5倍もシャインマスカットを輸出している。
ルビーロマン以外に高級フルーツ界の覇権を狙う韓国のブドウ品種は「ジュエルマスカット」「ゴールドスイート」「ルビースイート」など10種類以上ある。ジュエルマスカットはシャインマスカットと似ているが、さらに高い糖度とシャキシャキした食感が特徴。ゴールドスイートは実がシャインマスカットより小さいが、リンゴのような食感にアカシアの香りがする。慶尚北道農業技術院で赤系のベニバラードとシャインマスカットを交配して誕生させたルビースイートは色、味、食感などでルビーロマンと非常に似た次世代有望品種だ。
さらに綿菓子のような甘い味と香りがする「コットンキャンディー」(米国産)、細長い形が独特な「ブラックサファイア」(米国産)など輸入品種も競争に加わり、今や「ブドウ戦国時代」だ。
引用元: ・【韓国】韓国で価格暴落したシャインマスカット、新品種・輸入品種が入り乱れる「ブドウ戦国時代」に突入 [動物園φ★]
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