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衆院選を含めた選挙での投票率低迷が課題になって久しいですが、背景には、労働環境の変化が影を落としているとみています。
労働者派遣法が昭和61年に施行され、小渕恵三内閣時代の平成11年に派遣業種が拡大され、小泉純一郎内閣時代の15年に製造業への派遣も解禁されました。若い世代を中心にボーナスがはぎ取られ、賃金水準などの不安定化が進みました。
こうした労働環境の変化に象徴されるように、政治は特定の世代以下の人たちを政治的な対応の対象から外してしまった感じがあります。その結果、若い世代を中心に政治に対する絶望感が広がってしまった。実際、若い学生と話をしていると、今の日本の政治は何もしてくれないといった声をよく聞きます。
誰に投票しても自分たちの不遇は変わらないという状態が続くと、投票に意味をみつけられず、棄権(投票に行かない)という行動につながっていく。
休日は外出していることが多いから投票時間を延ばしましょうとか、18歳から投票できるようにしましょうとかやっても投票率が伸びないのは、根本の原因ではないところをいじっているからです。
投票率が低迷し続けるのは、候補者が、政治に絶望している人たちに希望を与えられていないからともいえます。特に野党には、政治に絶望している人たちと本気で向き合う覚悟が求められます。米国では、誰がリーダーになるかで有権者の生活が大きく変わり、それが有権者の投票行動につながっています。そこが日本との大きな違いです。
日本で5割前後の有権者が投票に行かない状況は、野党にとってチャンスといえます。そうした人たちにいかに政治に希望を持ってもらい、投票に行ってもらうか。その試行錯誤の先に政権交代があると思っています。
おち・としお 昭和36年生まれ。愛媛県西条市出身。新潟国際情報大学長。専門は現代政治理論、政治文化論、米国政治論。61年に立教大法学部を卒業後、平成4年に慶大大学院政治学博士課程修了。ニューヨーク大研究員などを経て、平成18年から新潟国際情報大教授。著書に「政治にとって文化とは何か」(ミネルヴァ書房)、「現場としての政治学」(日本経済評論社)など。趣味は文楽、演劇鑑賞。
https://www.sankei.com/article/20241012-AJAUNNGKVZI2XHQNROKAEONWWI/?outputType=theme_election2024
引用元: ・【新潟国際情報大・越智敏夫学長】「若い世代を中心に政治に対する絶望感が広がっている」
政権交代した先が立憲共産とかありえないわ
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