2024年10月01日 08時00分 公開
[鬼頭勇大,ITmedia] ハンコで国内トップメーカーのシヤチハタが、2025年に創業100周年を迎える。一企業の歴史として100年は大きな節目ながら、同社の舟橋正剛社長は「珍しいことではありません」と謙虚に語る。
舟橋社長は1997年の入社以来「ハンコ」への危機感をブレずに持ち続け、さまざまな「脱ハンコ」の試みを行っている。
前編の記事では、その代表的な例としてデザインコンペの実施や、そこから生まれたユニークな商品について解説した。
後編の今回は、そうしたB2C商品以外で、次の100年を担うべく柱として舟橋社長が期待を寄せるものについて、話を聞いた。
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前編で触れたB2C商品と合わせて、舟橋社長が力を入れていると話すのが産業領域だ。具体的には、皮革や木材、金属にプラスチックといった特殊な素材に対しても印をつけられる工業用インキが挙げられる。
製造現場で油がついた機器に作業終了の印を付ける、ロット番号を付ける、といった用途で活用が進んでいるという。
「当社はハンコ用のゴムを練る、インキを作る、さらに金型の成形など、素材を実際に触って試して、組み合わせながら最終的に商品としてお客さまにご提供するビジネスモデルです。
そう考えると、商品はハンコである必要は全くありません。中でも工業用インキは使用頻度が少なく受注ロットが小さいことから請け負えるメーカーがあまりないようで『シヤチハタさん、できない?』と相談を多く受けています」
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https://www.itmedia.co.jp/business/articles/2410/01/news020.html
最後に、ちょっと気になっていた質問をぶつけた。世の中には「シヤチハタ不可」としている書類がある。これについてはどう考えているのか。舟橋社長に質問したところ意外にも「こんなに光栄なことはない」と返ってきた。
不可・禁止ではあるものの、自社の商品が、わざわざ名指しでさまざまな書類に印字してある点が誇らしいのだという。
最近では、採用面接を行った高校生が、シヤチハタを詳しく知らなかったことがあったという。ハンコが当たり前ではなくなった時代に、いかに認知度を上げていくかは今後の課題だ。
次の100年に向けて、いかに「ハンコの会社」から脱却していくか。「判を押したよう」と言われないような、斬新な商品がカギを握っている。
引用元: ・書類でよく見る「シヤチハタ不可」、シヤチハタ社長に「実際どう思ってますか?」と聞いたら意外すぎる答えが返ってきた
判子の未来をちゃんと考えてるわ
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