熊本県阿蘇地域の特産「阿蘇たかな漬」の原料となる高菜不足が続いている。農家の高齢化で担い手が減り、2022~24年は深刻な害虫被害による不作が追い打ちをかけた。阿蘇たかな漬協同組合(7社)の概算では、今年の収穫量は約1000トンで、20年ほど前と比べて約1割に激減した。再興を模索する現場を訪ねた。
【写真】高菜を収穫する家入さんら
「危機的状況だ」。阿蘇市竹原にある山一食品の高菜加工場で11日、社長を務める同組合の中山達也理事長(63)は顔を曇らせた。原料の高菜不足で今年1月から水曜は生産調整を余儀なくされ、加工場のシャッターは閉まったままだ。
阿蘇高菜は、高冷地の涼しい気候で育つ伝統野菜で、茎が細く独特の辛みがある。例年10月に種をまき、翌3月下旬から4月上旬にかけて収穫する。組合によると、収穫量は00年頃で約1万6000トンだったが、22年以降は害虫のハクサイダニの影響が重なり、昨年は約1600トンまで落ち込んだ。
中山理事長は農家の高齢化と担い手不足を要因に挙げる。現在は100軒程度とされ、10年ほど前と比べて半分から3分の1に減った。山一食品の契約農家は30~40軒で、平均年齢は75、76歳。組合全体でも20~30歳代の若手は少なく、急な生産増は難しいという。
阿蘇高菜は一本一本の茎の堅さを直接、指で確かめながら折っていく。「高菜折り」と呼ばれる手作業で機械化が難しいという。組合は10年ほど前、メーカーに依頼して収穫機を試作したが、高い開発費の割に作業効率が悪く、需要を見込めなかったという。「努力はしたが近代化は難しい。収穫量は減るばかりだ」。中山理事長はつぶやいた。
生産現場も高齢化にあえいでいる。阿蘇市西町の栽培農家、家入常幸さん(84)は今年は約7アールの面積で約1トンを収穫したが、来年の栽培面積は半分程度になる見通しだ。漬物会社にも卸していたが、「年を取って体の負担が大きい」と自宅で漬ける分を中心にするつもりだという。高菜折りを続けるのは「手作業に加え、座り込んで腰を曲げ、ずっと同じ体勢でいるから大変だ」と話す。
https://news.yahoo.co.jp/articles/c6ac74fb6b76f9c10afddf7fd4dd871daa6bf972
引用元: ・「阿蘇たかな漬」高菜の収穫が20年前と比べ1割に危機的状況 (,,゚Д゚)高菜、食べてしまったんですか!? [114497724]
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阿蘇たかな漬は07年に地域ブランドとして商標登録され、22年度には文化庁が認定する伝統食材「100年フード」に選ばれた。組合では収益力を強化し、新たな担い手の増加につなげようと、独立行政法人・中小企業基盤整備機構に依頼してブランド化のアイデアを練る予定だ。伝統野菜のブランド化に取り組む広島菜の産地、広島市を訪ね、加工メーカーでの研修も計画している。
生産農家の支援も重要だ。山一食品では昨年、4年ぶりに販売価格の値上げに踏み切り、15%引き上げた。買い取り価格も上げ、農家の収益確保と意欲向上を図っている。中山理事長は「希少で高価格を逆手に取り、『幻の高菜』として売り出したい。収益を農家に還元し、阿蘇たかな漬を守っていく」と語った。
まずは食べ続け支えることから
中山理事長が経営する郷土料理店で高菜飯を食べた。ほんのりとした香りと懐かしい味に、子どもの頃の実家の記憶がよみがえった。朝食ではよく、茶わんに盛ったご飯に油でいためた高菜をのせて食べていた。
取材を通じて阿蘇高菜が不足していると知った。一方で食文化の変化もあるのかもしれないが、若者の高菜離れも進んでいるという。阿蘇地方の伝統野菜を守るために何ができるだろう。まずは食べ続けて支えることから取り組みたい。(江崎宰)
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