酒車カス「新しく買った車を知人らに見せたい」←最高に車カス。全盲の51歳息子と82裁母親轢いた裁判

起訴状によりますと、岩井拓弥被告（31）は去年12月、岸和田市の道路で乗用車を酒に酔った状態で運転。対向車線脇の路側帯に突っ込んで歩行者の親子2人をはね、母親の大久保春江さん（当時82）を死亡させたうえ、息子（51）にも外傷性くも膜下出血などの重傷を負わせたとして、危険運転致死傷の罪に問われています。

全盲で白杖をついて歩いていた息子に春江さんが付き添い、2人でJR阪和線の駅に向かっていた際に事件は起きました。

9月18日、大阪地裁堺支部で開かれている初公判での罪状認否で、岩井被告は「間違いありません」と小さな声で答え、起訴内容を認めました。

検察側は冒頭陳述で、「忘年会帰りに飲酒運転をして事件を起こした。運転前に4軒の飲食店で飲酒をしていた。電車ではなく車で忘年会に向かったのは、“電車の時刻に拘束されるのがわずらわしい”“新しく買った車を知人らに見せたい”という理由からだった」などと指摘しました。

弁護側の冒頭陳述によれば、岩井被告は1軒目でジョッキ8杯のビールを飲んでいたということです。

判決は9月24日に言い渡されます。

大阪府岸和田市の路上で昨年末、同市で整骨院を営む全盲の大久保孝之さん（５０）と母親の春江さん（当時８２歳）が飲酒運転の車にはねられた。春江さんは亡くなり、大久保さんも骨折などの重傷を負って入院した。大久保さんは視覚障害者マラソンで活躍するランナーで、春江さんは練習の送り迎えなどで支えた。大久保さんは「母のためにも社会復帰を果たしたい」と、リハビリに取り組んでいる。（北島美穂）

路側帯歩き事故

事故が起きたのは昨年１２月３０日午前７時頃。大久保さんが 白杖はくじょう をついて春江さんと路側帯（幅８０センチ）を歩いていた時、前から中央線を越えて向かってきた軽乗用車にはねられた。大久保さんが倒れているのを通行人が見つけ、１１０番。大久保さんは長居公園（大阪市東住吉区）で走るため、近くの駅に向かう最中だった。

車を運転していた岸和田市額原町、会社員岩井拓弥容疑者（３０）は事故前日の午後９時頃から約１０時間飲酒しており、呼気から基準値を超えるアルコール分が検出された。岩井容疑者も脚を骨折し、退院後の１月中旬、府警岸和田署は自動車運転死傷行為処罰法違反（危険運転致死傷）容疑で逮捕。調べに「酒を飲んだことは覚えているが、事故は覚えていない」と供述したという。

マラソンで活躍
大久保さんは２０歳の頃、視力が徐々に失われる難病「網膜色素変性症」と診断された。春江さんに「目が見えなくなったら困る。その前に手に職をつけた方がいい」と促され、府立盲学校（現・府立大阪南視覚支援学校）と専門学校に通って 鍼灸師しんきゅうし や柔道整復師などの資格を取得。視力が次第に弱まり、教科書の中にルーペを使っても見えない専門用語がある時は、春江さんが読み上げてくれた。

大久保さんは全盲になった２００９年、地元で整骨院を開いた。春江さんは目の不自由な大久保さんに代わって経理作業を担当。大久保さんが１０年前に始めた視覚障害者マラソンでも、早朝や夕方に自宅近くの公園や池の周辺で伴走者と練習する際、「伴走者にお礼が言いたいから」とほぼ毎回送り迎えをしてくれた。

大久保さんは走力を伸ばし、市民ランナーとして各地の大会で入賞。１９年の「ひらかたハーフマラソン」では、視覚障害者男子１０キロの部で初出場して優勝し、２２、２３年は連覇した。高齢の春江さんの負担を減らすために１人で買い物に出かけ、春江さんが好きなシンビジウムの花を整骨院に飾った。