現在、全国一律「2000,円」に設定されている映画料金。「日本の映画料金は高すぎる」との声をよく耳にするが、他国と比べて本当に高いのだろうか? そもそも、なぜこの価格になったのか……。年間約500本を鑑賞し、さきごろ著書『教養として知っておきたい映画の世界』を上梓した、映画パーソナリティのコトブキツカサさんが考察する。
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世界でもっとも映画料金が高い国は……
現在、国内の映画料金は、一般の券種で全国一律2000,円という価格が設定されています。3Dや4Dなど、特殊な映写システムや音響システムのある施設であれば、プラス数百円などの追加料金が発生します。
「2000,円」という価格に対して、映画ファンからも「日本は高すぎるのではないか?」という声をよく聞きます。日本の映画料金は、他国と比べて本当に高いのでしょうか? それとも安いのでしょうか?
とはいえ、皆さんもご承知の通り、円安傾向にある現在の為替レートで見てしまうと、「おや? 日本の映画料金は安いじゃないか!」という結果になってしまうかもしれません。
そこで、少し古い情報になりますが、2014年に海外のサイト「Nation Master」が行った映画料金比較の資料をもとに、当時の米ドルで比較していきます。
世界で最も映画料金が高いのはサウジアラビアで、約60ドルです。ただし、この価格には理由があります。サウジアラビアでは1960年代から劇場での映画上映が禁止になり、スクリーンで映画を観ることができなくなりました。
禁止となった理由は主に宗教的な色合いが強く、映画館の暗闇で男女が近づくことに対する抑制や、ハリウッド映画(アメリカ思想)への反発があったとされています。
劇場解禁されたのは2018年と、劇場で映画を観る環境が完全に整っているとはいえないこともあり、チケット代金は高騰してしまうのです(その後、サウジアラビアは段階的に映画チケットの価格引き下げを発表していますから、この驚異的な料金も徐々に緩和されていくのかもしれません)。
https://news.yahoo.co.jp/articles/05fed753af990b7c83e9b80718d98ec7d9be838e
引用元: ・日本の映画料金「2000円」は他の国と比べて高いのか?ネトフリと比べて「割高」と思うユーザーも [114497724]
>>1
「上昇率」で見ると高いとは言い切れない
その他の国を見ると、スイスが約20ドル、中国は場所にもよりますが約12~13ドル、香港は約10ドル、シンガポールや韓国は約9ドル、アメリカでは州によって異なりますが平均すると約7~8ドルぐらいです。
そして日本は約18ドルで、世界ランキングのトップ5に入るほど映画料金は高額となっています。アジアで最も高いチケット代が設定されているのが日本です。
こうして世界と比較すると、日本の映画料金は高いように感じますが、視点を変えると印象が少し変わるかもしれません。
というのは、「物価との連動で見ていくと、昔は映画代と散髪代は等価だった」と話す人がいるからです。例えば、1970年の映画料金は550円で、当時の理髪店で髪を切る料金も550円だったといいます。
時を経て、現在の映画の鑑賞料金は2000円で、日本の理容室の全国平均単価は2500円です(全国理容生活衛生同業組合連合会ホームページより)。このデータを踏まえると、映画料金のほうが料金の上昇率を抑えられていることになります。
一方、現在はさまざまなエンタメコンテンツが登場していますが、それらコンテンツの料金と比較すると、日本の映画料金が割安とは言い切れません。
例えば、Netflixで定額料金を払えば、劇場で映画を1回鑑賞する料金よりも安く、過去の映画やドラマ、新作のオリジナル作品が観られる時代。「映画料金は割高だ」と考えるユーザーの気持ちも理解できます。
>>2
「適正な映画料金」はいくらなのか?
映画料金に対しては、業界内でもさまざまな意見交換がなされてきました。
例えば、ある配給会社の社内会議では、都市部とそれ以外の地域の映画料金に差をつける案が過去、何度も議論されたといいます。
都市部は、映画館の賃料をはじめ、飲食店やコインパーキングの料金も総じて高いので、都市部の料金設定を上げ、それ以外の地域を下げることが提案されてきたのです。
海外においては、アメリカのように地方で5ドルで観られる映画が都心部では15ドルするなど、地域によって価格差があることは珍しくありません。
しかし、日本で一律料金が維持されているのは、分社化されていた映画会社の統一化(料金体系の一律化)と地方の映画館を救うという2つの大きな意味があるとされています。
映画料金の収益は、原則として配給会社と映画館で折半するので、料金を安くすると、劇場来場数が微増したとしても、劇場の収益が減る計算になるのです。
「料金変動制」を取り入れてみては?
とはいえ、昨今は、ムビチケ前売り券、シニア割、ファーストデイ、夫婦50割引など、各映画会社が多様な料金設定をしています。
世界的に見て、これほどターゲットを細かく設定した割安サービスを提供する国はないでしょう。情報収集をし、会員登録をすることなどにより、料金を抑えられるようになっています。
ちなみに、ルール変更の困難さを承知の上で、僕の考えを提案すると、公開日からの経過日数に応じて料金を変動させるのはどうでしょうか。
上映作品には鮮度があり、SNS等でのネタバレを避けるのは至難の業です。
人気作品は、たとえ公開初日の映画料金が3000円であっても早く観たいと考えるはず。そして、1週間ごとに料金を下げ、最終的に1000円くらいにすれば、劇場の混雑が緩和される利点もありますし、総合的な興行収入も増えるはず。
何よりも「あの作品を自分は公開後、すぐに観た」という、ファンの自己満足度も高まると思うのですが……。
コトブキ ツカサ(映画パーソナリティ/エンタメ評論家)
体験型が多くある映画よりは映像単品で買わせるタイプに
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