■ウソと矛盾の農業村
50年近く農業と農政に付き合って、つくづく嫌になることがある。それは、農林水産省、JA農協、農林族議員、農業経済学者たちの主張がウソと矛盾にまみれていることである。昨年11月のNHKスペシャル「食の“防衛線”」もそうだった。一般の国民はかれら”専門家“のウソや矛盾が見抜けない。かれらの肩書だけで”専門知識“を信じてしまう。私がウソや矛盾を指摘しても、かれらは正面から答えることはしない。暴論とか持論とかのレッテルを張ってごまかす。
減反を取り上げよう。食料安全保障と関連付けた今回の基本法見直しで、農業村が最も関心を持っているのは、 “適正な価格形成”である。肥料、農薬、飼料などのコスト上昇を価格に転嫁しようというものである。食料安全保障のために国内の農業生産を維持するには、農家の所得を補償できる価格が必要だと言うのだろう。
これは、農業村の常套文句である。コメ生産の維持のために高米価が必要だと言う。しかし、その手段として減反=コメ生産の減少を行うのは矛盾していないか?農業村は看板には“コメ農業の維持”を掲げながら“コメ殺し”を実践してきた。所得補償は価格だけでなく直接支払いでもコストダウンでも実現できる。前述のNHKスペシャルは農家戸数が減るのでコメの供給は需要を賄えなくなると主張した。しかし、供給が需要を下回るなら、なぜ減反するのか?
転嫁しようとしている肥料、農薬、飼料の価格は、原材料は同じなのに、なぜかアメリカの2倍もする。これら高い資材を農家に販売しているのは、圧倒的な販売シェアを持つわれらが農業団体、JA農協である。適正な価格形成で利益を得るのは誰だろうか?
麦の輸入が増えて食料自給率が下がったのはアメリカのせいだと言うJA農協系の国立大学教授がいる。しかし、JA農協は「国産国消」を主張する裏側で、せっせとアメリカ産農産物を輸入してきた。JA農協が関税なしで輸入するアメリカのトウモロコシは日本の農家が買うときは2倍の値段になり、配合飼料になると3倍の値段になる。JA農協は、生産物と資材の販売で二重に手数料を稼ぐ。適正な価格形成で生産物の価格が上がると手数料収入も増える。
アメリカは牛肉については自由化や関税削減を迫ったが、バターなどの乳製品については、ホエイを除いて、関税引下げを求めなかった。バターの関税を下げるとニュージーランドの対日輸出が増え、アメリカ産トウモロコシの輸出は減少する。日本の酪農を維持して穀物を輸出した方が有利だ。JA農協とアメリカ穀物業界はウィンウィンの利益共同体である。被害者は、高い牛乳乳製品を買わされる日本の消費者である。しかし、事情を知らない日本の消費者団体は疑うこともなく「国産国消」のバターを喜んで購入する。
■先祖の霊で農地が貸されない
農地も同じである。農家が農地を貸したがらないのは先祖伝来の土地だからと農林水産省は説明する。しかし、農地を貸すときは先祖の霊が妨害し、農地を転用・売却する(所有権を譲渡する)ときは先祖の霊はどこかにお隠れになるようだ。便利な先祖の霊である。少し考えれば、農林水産省のウソを見破れるのに、マスメディアは信じてしまう。
株式会社の農地取得に反対する理由として、株式会社は農地を転用すると農業村は主張する。しかし、これまで転用したのは誰だろうか?
(省略)
終戦直後、小作人の解放を唱え、燎原の火のように燃え盛った農村の社会主義・共産主義勢力は、農地改革によって小地主となった小作人が保守化したため、急速にしぼんでいった。これを見たマッカーサーのGHQ(連合国最高司令官総司令部)は、保守化した農村を共産主義からの防波堤にしようとして、農地法(1952年)の制定を農林省に命じた。農業改革に進みたいとする農林省は、零細農業構造の固定になるとして抵抗したが、押し切られた。農地法が目的としたのは、小さい“自作農”という農地改革の成果を固定することだった。マッカーサーに同調し、農地改革に反対した与党を農地法制定でまとめたのが、池田勇人大蔵大臣だった。農地法は強力な防共政策だった。不思議にも、今では共産党がこの防共政策を支持している。
この保守化した農村を組織し、自民党を支持したのが、戦後作られたJA農協だった。農協が原則とする“一人一票制”(大きな農家も小さな農家も投票権は一票)は、農家規模が均等になった農地改革後の農村を組織化するのに適していた。こうして農村は自民党の長期保守政権を支える基盤となった。“農地法と農協無くして自民党無し”である。(以下ソース)
引用元: ・【課題】日本の農地をどうするのか? 農地法の呪縛…農地改革で小地主となった小作人が保守化、自民党の長期政権支える基盤に [樽悶★]
そこらの野菜とは訳が違う
大変だよしょうがないね
サラリーマン的な働き方でなら農業やってみたいんだが
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