創立120年超えの加美農は、近年は全校生徒数とともに野球部員も減少。2017年にはわずか2人に。しかし7年前、この学校に赴任してきた佐伯友也(ゆうや)監督が長い歳月をかけて、部員を26人にまで増やしていった。
周囲から「一体どんな魔法をかけたんだ?」と驚かれるその手法とは何なのか。number.bunshun.jp/articles/-/862961?page=1
引用元: ・宮城の農業高校、公式戦0勝なのに「部員2→26人」
佐伯監督が通ってきた高校野球の道とは全く違う景色。「これは自分の指導力が問われるな。おれの腕の見せ所だぞ」と、やる気に火が付いた。
日々の練習に付き添いながら彼らの成長度に集中し、見逃しそうな小さな成功を一緒に喜ぶ。時には“出稽古”にも行った。親交の深かった我妻敏監督(当時)の計らいで東北高校と合同練習をしたこともあった。
力の差はとてつもなく大きいが、グラウンドの中では平等だった。「いいチーム作ってるね。がんばれよ」と声をかけられるたびに、微かな光が見いだせた。
のちに選手から「あの言葉にやられたよなー!」「レギュラーにしてくれるって言ってたのになぁ」などの小言を言われることになる「盛り盛り」のPR作戦を行い、結果は良好。
2020年には10人となり念願の「連合チーム脱却」を果たし、そこから4年間、春夏秋すべての大会を単独チームで出場している。
2018年 4人(223人)
2019年 6人(221人)
2020年 10人(215人)
2021年 16人(183人)
2022年 20人(161人)
2023年 22人(136人)
2024年 26人(140人)
2. 未経験者にも野球の楽しさを伝える(野球道具の無料貸し出しも行う)
3. 学校、保護者、地域のファンづくり(除雪作業のボランティアなど)
4. 部員募集PRとSNSを使った情報発信(インスタグラムを開設、運営)
5. 人に頼る(強豪校も巻き込む)
3年生1人、2年生2人、1年生4人……と年々増えている。能力の高い選手を迎えることは簡単だが、その逆は難しい。指導する時間もかかるし、ケガの心配があるからだ。佐伯監督も「最初は左利きの選手が右利きのグローブをはめていたこともありました」と笑う。
しかし、時に厳しく、されど愛情をもって接すると選手はみるみる伸び、前述の佐藤永遠選手のようにホームランを打つまでに成長するという。初心者のために、貸し出し自由の野球道具もそろえている。
「アイツ、最初アポなしで学校に来たんですよ。雨の日に室内練習場に部員2人と立っていて『合同練習お願いしまーす』って。顔は自信満々なんですけど、能力差的に危ないじゃないですか」。
しかし、だ。フライもうまく捕れない加美農の選手たちに、東北高の選手たちが手とり足とり教えてあげたというのだ。「結果的にウチの選手たちにも勉強になった。なんだかんだ最後はいい話で終わるのがアイツのずるいところなんですよ」と笑う。
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