ボランチで先発出場すると1-1のまま延長に入ってもベンチに下がることなく120分間フル出場。3-1での逆転勝利に貢献した。
立ち上がりこそ硬さが見えたが、時間の経過とともに中盤でのボール奪取や前線への飛び出しなど随所に″らしさ″がうかがえた。ボー・ヘンリクセン監督は試合後、「非常にいいプレーだった。満足している」と高評価。佐野はチームメートと輪になって喜び、試合後には仲間と歓喜のダンスを舞った。
岡山県出身の佐野は米子北高を卒業後、町田ゼルビアで4シーズンを過ごし、昨季から鹿島でプレー。豊富な運動量を武器に攻守にアグレッシブな中盤のダイナモとして評価を高め、昨年秋に日本代表入りをはたすと、今年1月には代表メンバーとしてアジアカップに参加した。
そして7月からは、独1部リーグのマインツで、さらなるステップアップに挑む――はずだった。ドイツの日刊紙『アルゲマイネ・ツァイトゥング』のドミニク・ツェイス記者が打ち明ける。
「移籍決定直後の7月14日に″逮捕された″という一報が入り、その後に″女性に対する不同意性交の嫌疑″だと知らされて……得られた情報はそれだけ。しばらくすると今度は″釈放された″というニュースが出た。ドイツにいる者にとっては情報がほとんどない状況だった。佐野は8月1日にチームに合流したけど、所属事務所を通じて声明を出しただけで、自らの口では何も語っていない」
それは日本のファンにとっても同じだ。試合後、取材エリアで佐野を待った。「お疲れ様です」と声をかけると、佐野は少しビックリしたような表情を浮かべながらも、こちらに向き直った。
◆再出発するために
――大変な1ヵ月だったと思います。不起訴となり、区切りはつきましたか。
「事件に関して何も言えなくて……。ここから自分がチームのために何ができるか、だと考えています。少しずつ、前に進んでいけたらと思っています」
――プレーで見せていく。
「それが一番だと思いますし、プレー以外の部分でもしっかり見せていかないといけないと思っています」
――8月23日に開幕するブンデスリーガで、どんなプレーを見せたいですか。
「自分の良さは、ボール奪取やセカンドボールを拾うところ、前への推進力だと思っているので、そこをしっかり出しながら、ゴールに繋がるプレーをどんどん見せていけたらと思っています」
言葉を選びながら、丁寧に答える佐野。カメラマンに促されて、ようやく笑顔が戻った(上写真)。この日、彼が懸命に相手ボールを奪う姿にスタンドから拍手が送られるシーンが何度かあった。本人が言う通り、再出発するためにできるのは「ピッチ内外の行動で示す」ことだけだろう。
『FRIDAY』2024年9月6・13日合併号より
取材・文:栗原正夫
https://news.yahoo.co.jp/articles/10fd700c2c5942dd3d3dcae4fa0babf74feae8df
引用元: ・元サッカー日本代表・佐野海舟が語る″覚悟の再出発″ 「自分に何ができるか。ここから前進していく」 [原島★]
コメント