■英断してくれると思っている
──提出した要請文について都はどんな反応を?
都の秘書課長からは、「関係部署と共有します」と言われた。
今回の要請は「追悼メッセージを出してほしい」というものであり、(横網町公園での)追悼式典に追悼文を送れと言っている
わけではない。だから私はまだ、小池さんが英断してくれると思っています。9月1日に何かメッセージを出してくれるだろう、と。
史実やその解釈についての議論は市民社会で自由に行われるべきで、行政があれこれ声明を出すものではないと個人的には思っている。
行政が歴史解釈の権威や最終判断の権利を持っていると思われても困る。
ただ、重大な人権侵害につながるような虚説が流布しているなかでは、分かっていることについては「こうである」と示したほうがいい。
特に、行政に関わる重要な事実については姿勢を明らかにする必要がある。
震災時の虐殺は行政の過失、国の過失によって起こった。そのことを国や都がちゃんと認めることが必要だ。
ー中略ー
■都庁の職員が絶対に答えないこと
──朝鮮人の犠牲者の正確な数字は分かっていない。
内閣府が出した中央防災会議の報告書(2009年)では、朝鮮人などの犠牲者数を「震災による死者数の1~数パーセント」としている。
その数字で言うと、1000~6000人だろう。
「6000人説は嘘だ」と言う人がいるが、6000人説が嘘かどうかも含めて定説がない。6000人も1つの説であるし、それは違うと
指摘している研究者もいる。当時、どのようなレベルでしっかり調査したか自体の検証もできないので、結局、正確な数は分からない。
ー中略ー
──小池知事が追悼文を出していないことで、どんな影響があるのか。
大変な影響があると思う。僕は『In-Mates』上映中止事件について都とやり取りをするなかで、何度か「1923年9月の震災後に
どんなことが起きたのか、ご存知ですか?」と都庁の職員に聞いているが、答えないんですよ。
もちろん知らないわけではなく、答えてはいけないことになっているのだと思う。先日も人権部の課長と話をしたときに聞いたが、
答えない。「教科書に書かれていますよね?」と聞いても、この場では答えません、と。
東大有志の要請文を出しにいった時も、都の秘書課長に「23年9月にどんなことが起こったのかご存知ですか」と聞いたが、
それは答えられませんと言う。日本で一番高い山は富士山です、みたいな話なのに、絶対に答えない。
東京都100年史(1972年)には、自警団がその場を去らせず殺した事例が多発した、大正東京の汚点だ、といったことが書かれている。
そうした記述がちゃんとあるのに、今の都庁では朝鮮人虐殺はあったか、なかったか分からないことになっている。
少なくとも、都民にそのことを教えてはいけないことになっている。職員は明らかに違うと思っていても言わない、言えない、
都民にも知らせない、そういう状況だ。
ー中略ー
■殺す側もトラウマを抱えた
これは人権にかかわる、つまり人の命にかかわる問題です。
昨年、震災100年でいろいろな人の話を聞いたが、在日3世の人が「災害が起きて避難所に100人集まったとして、救援物資が90人分だったら
除外されるのは自分だろう。自分はいいとしても自分の子供がそうされたら辛い」という話をしていた。
怖くて避難所に行けない在日コリアンがいるなかで、「震災虐殺があったのか分かりません」という態度を都知事が取ったり、
『In-Mates』を上映してはいけないと都の人権部が言うとしたら、人権行政を信じられないと絶望的な気持ちになる人は多いと思う。
「差別は人を殺す」と言われるがそれは明白なことで、例えば厚生労働省などの統計を見ても在日コリアンの自殺率は高い。
彼らは生まれたときからずっと否定的なメッセージを受け取っている。
朝鮮人は汚いとか、今は多少よくなったが、「韓国人は嘘つきだ」といった本の広告が電車に並んでいたりする。
それで精神的なストレス受けない方がおかしいですよ。
ー後略ー
大橋 希(本誌記者)
全文はソースから
Newsweek 8/30(金) 11:56配信
https://news.yahoo.co.jp/articles/36ad4815c6719e92ed7a207d7a6968525e78c087
引用元: ・小池都知事は「震災時の朝鮮人虐殺」を認める「メッセージを出してくれると思う」東大・外村教授 [8/30] [仮面ウニダー★]
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