今、次期総裁選の有力候補として俄然注目を集めているのが、小泉進次郎氏だ。テレビ等のメディア上のコメンテーター達の仲でも小泉推しの者は決して少なくない。その結果もあり、一般国民のみならず自民支持層からの人気も高く、菅義偉氏や森喜朗氏らの「古老」達からも支持されており、本命不在の次期総裁選における、最有力候補の一角と目されている。
しかし、小泉氏に対する「疑念の声」 「不信の目」は根深いものがある。つまり、「小泉批判」、さらに言うなら「小泉嫌悪」の声は濃密に存在しているのである
とりわけ、インターネット世論においては、小泉氏は既に「オワコン」と目される立場にまで堕落している。
最近では、都知事選で一時取り沙汰された「石丸構文」にあわせて「小泉構文」が話題となり、その中身のないエンプティさがネット民のみならず様々に取り上げられたのは記憶に新しい。
例えば環境政策を「Cool」「Sexy」と評したり、報道番組でのCO2の削減目標についての迷言「おぼろげながら浮かんできた」発言、さらには、「今のままではいけないと思います。だからこそ、日本は今のままではいけないと思っています」という完璧なる意味不明発言等が「小泉構文」の典型例だ。
要するに、ある程度の政治についての情報を持っている世論層においては、テレビにおいて存在しているかの様に言われている「小泉人気」というものはそもそも既に存在しておらず、むしろ小泉批判/小泉嫌悪の論調が支配的なのである。
この点は、永田町の政治を知り尽くした政治記者達における評価を見れば一目瞭然だ。
例えば、2022年月刊「文藝春秋」2月号の記事「政治記者123人が選んだ『次の総理、5年後の総理』」の仲に、小泉進次郎氏の名前は一切出てこなかったのだ。
この記事には、最低3人の記者が名前を挙げた政治家全員の名前が載っていたというから、小泉氏に期待している記者はいたとしてもせいぜい1人か2人しかいなかったというわけだ。
つまり「政治のプロ」達は、小泉氏には「次」どころか「5年後」も含めて総理大臣として何ら期待等していなかったのである。
そして勿論、こうした「政治専門家」達における空気は「自民党」の中においてすら蔓延している。
例えば、元自民党衆議院議員で防衛副大臣を勉めていた宮沢博行氏は、小泉氏が総理候補である事について、
「(小泉氏が)アメリカのトランプ前大統領やカマラ副大統領、さらには中国の習近平国家主席、ロシアのプーチン大統領と会談している様子がとても想像できない」「これをやったら(=小泉総理となったら)日本は終わる…今回、自民党は“党の顔”“選挙のため”という選び方をするが、国家のためということも考えて投票しないとまずいと思う
そうであるにも関わらず今、少なくとも8月下旬時点で、小泉人気があるかのような論調がテレビメディアを中心に存在しているのは、政治についてさして興味関心を持たない一般国民において、小泉進次郎氏という存在が「知られて」おり、アンケート調査をすれば一位に躍り出ることがしばしばであるからに他ならない。
つまり、「小泉進次郎」などは総理大臣になんて絶対にさせちゃいけない政治家の代表選手ではあるが、自民党が下野するリスクを避けるには、そんな「小泉進次郎」に乗っかっておく方が得策なのではないかという空気が、自民党の中に濃密に存在しているのである。
だからこそ、自民党のキングメーカーたる菅義偉氏もまた、何の臆面も無く小泉進次郎を推しているのである。
しかも、自民党の中には、小泉進次郎を軽く見ており、選挙の顔として使うことができれば、(可及的速やかに。)「使い捨てにしてやろう」という見解も濃密に存在しているようである(複数ルートからそういう“声”が実際にあるという話しを某関係者から耳にしている)。
つまり、人気者の小泉進次郎を総裁にして選挙を戦い勝利すれば、スグに(つまり、その直後に!)総理をやめさせればよい(あるいは、「総裁を辞退」させれば良い)、という認識が一定程度共有されていると言うのである。
これが本当なら「どこまで国民を愚弄すれば気が済むのだ!?」という様な許し難い話しである。
引用元: ・【京都大学教授・藤井 聡】「小泉進次郎は総理大臣になんて絶対にさせちゃいけない政治家の代表選手だ、永田町の政治を知り尽くした政治記者達における評価を見れば一目瞭然だ」
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