衆院財務金融委員会は午前9時30分から、参院財政金融委員会は午後1時から植田総裁の意見を聴取する。所要時間はそれぞれ2時間半を予定している。
国会が閉会中に行われる今回の異例の審査は、日銀に説明を求める議員らが開催を要請した。日銀のタカ派的なシグナルは今月、過去最大の下げ幅を記録した日経平均株価をはじめ、世界の株式市場から最大6兆4000億ドル(約930兆円)もの資金が消失する一因となった。株式市場ではその後下げ幅を縮小しており、米S&P500種株価指数は7月の最高値に再び接近、日経平均も8月の安値から約20%戻している。
意見聴取の数時間後には、米ジャンホール会議でパウエル米連邦準備制度理事会(FRB)議長の講演が行われるため、植田総裁はニュース性のある発言を控え、ボラティリティーをできるだけ生じさせないようにするだろう。日銀ウオッチャーによると、総裁は政策のコミットメントはせず、金融市場が不安定な状況で利上げはしないと安心感を与えようとする可能性が高い。
ニッセイ基礎研究所の上野剛志上席エコノミストは、「植田総裁の究極的なゴールは何も衝撃を与えないことだろう」と指摘。「そもそも閉会中審査が開かれるのは日銀のタカ派的なメッセージの後に世界的な金融市場の混乱があったことであり、ここで市場を混乱させるようなことをすれば目も当てられない」と述べた。
日銀のタカ派シグナルで市場に激震 | 日本株は乱高下、円相場は急騰
内田真一日銀副総裁は7日、金融市場が不安定な状況で利上げは行わないと述べ、市場の不安を和らげようとした。「当面」は現在の水準で金融緩和をしっかりと続ける必要があるとの見解も示した。
この発言以降、市場は幾分落ち着きを取り戻してはいるものの、正副総裁の差異が市場に不安をもたらしている。植田総裁が発する言葉のニュアンスに何かしら変化があるかどうかが、日銀ウオッチャーが注視する重要なポイントだ。日銀ウオッチャーの多くはなお、市場の混乱はそれほど長く続くことはないとの分析の下、年内の再利上げの可能性はまだあるとみている。
UBS証券は次回の利上げを10月と予想。一方、野村証券とドイツ証券は12月とみている。バークレイズは先週、来年4月から1月に前倒しした。
微妙なバランス
植田総裁は円安が進みかねないとの懸念からハト派寄り過ぎる発言も避けたいだろう。7月の決定会合に向けては、円安進行を背景に政治家や企業経営者から利上げを求める声が高まっていた。
ニッセイ基礎研の上野氏は「タカ派色を明確に出せば円高が進み、その一方で株が暴落する」と指摘。「明確にハト派のシグナルを出せば円安がかなり進むリスクがあり、円安からくるさまざまな懸念を改めて呼び起こし、7月会合前と同じような状態に戻ってしまう」と語った。
市場の注目は数時間のうちに、植田総裁からジャンホール会議で講演するパウエルFRB議長へと移り、その発言は先行きの米金融政策を探る手掛かりとして精査されることになる。
みずほ証券金融市場部の大森翔央輝チーフデスクストラテジストは、23日の「市場は値動きが荒くなるだろう」と予想。植田総裁は内田副総裁の発言を踏襲する公算が大きいものの、「市場が誤解するような回答、あるいはタカ派的スタンスといった市場に都合よく受け止められる回答へ誤って誘導される可能性がある」と述べた。
(抜粋)
全文ソース
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2024-08-21/SILB3TT0G1KW00
引用元: ・【日銀植田】市場の視線を一身に浴びる植田日銀総裁、衆参両院であす23日閉会中審査 [PARADISE★]
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