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略11月18日、野村大使は独断により思い切った新たな提案をハル国務長官にぶつけました。
それは日本で激しい議論を経てようやくまとまった乙案よりも、さらに日本側が譲歩した案でした。
野村案は日米間の緊張を緩和するために、在米日本資産の凍結令実施前の状態に復帰することを目指すものです。
具体的には日本の南部仏印からの撤兵と資産凍結の解除を、交換条件として同時に行うこととする案でした。
新提案は野村と来栖の越権行為ではあったものの、ハルの関心を引いたことはたしかです。
来栖大使が新たに派遣されたのは、この新提案をもたすためだったのかとアメリカ側は受け取りました。
二人の熱意に押されたのか、ハルはついに「もし日本政府が公式に平和政策の遂行を声明するならば、それを契機として、英・蘭を説いて、資産凍結以前の状態に復帰することを考慮しよう」とまで口にしています。
英蘭中の代表は、日本にその意思があるのであれば資産凍結を解除することで戦争の危機を取り払うことに歓迎の姿勢を示し、本国政府の意見を聞くことを約束しました。
このとき、日米交渉が行われているワシントンの現場は、久しぶりに和やかな空気に包まれたとされます。
以下略
引用元: ・太平洋戦争を避ける唯一のチャンス「対日石油禁輸解除」が実現しかけた「野村私案」の功罪 [902666507]
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