スイス連邦工科大チューリヒ校名誉教授の大村纂(あつむ)さん(82)は長年、気候と氷河の関係などを研究し、氷河融解がもたらす問題について警鐘を鳴らしてきた。
陸上の氷の融解が加速している現実を目の当たりにし、大村さんは訴える。「日本人ももう知らないふりはできない」
――温暖化に伴い、氷河の融解が加速していると報告されています。氷河が縮小するとどんな影響があるのでしょうか。
◆氷河は地球で最も大きな真水の貯蔵庫で、貴重な水源です。私が住むスイスでは、夏の間に氷が解けて流れ出る水を農業用水や飲料水の他、水力発電などに活用します。
私はスイスアルプスの氷河の一つ「ローヌ氷河」で長年観測を続けてきました。この氷河がある地域は年間降水量が500ミリにも満たないのですが、
冬に降る雪と氷河の融解水に頼って人々が暮らし、ブドウの産地としても知られています。住民にとって融解水は必要不可欠な資源なのです。
氷河が縮小、消滅すると水不足になり、特産のワインも造れなくなるでしょう。人命や経済に直結する、正に死活問題です。
地上で起きているさまざまな現象の中でも、氷河には最も早く、かつ明瞭に地球温暖化の影響が表れています。
海面上昇、最悪の事態想定を
――地球規模ではどんな影響があるのでしょうか。
◆氷河の融解は海面上昇に直接影響します。これは科学的に証明されていることです。氷河がある高緯度地域だけでなく、熱帯地域も含め、世界全体に影響が及びます。
引用元: ・【気候変動】気候学権威・スイス連邦工科大チューリヒ校名誉教授の大村纂さんの警告 「日本人ももう知らないふりはできない」
コメント