日本株の異常な下げ方が、世界の市場を揺らす可能性が強まっている。2日発表の米雇用統計悪化が、日米株安という火に油を注ぐ結果になり、5日に至り、まれに見る日本株急落を招いた。
長期間、デフレにむしばまれてきた経済が、輸入インフレに見舞われ、中央銀行が利上げに動くと、こうなるのか。典型的な劇場のシンドロームだ(観客が一斉に非常出口に殺到する現象)。
日本株見切り売りを急ぐ海外勢からは、ため息交じりのつぶやきが聞こえてくる。
とはいえ、振り返れば、そもそも今回の日本株売り主体も海外勢であった。
CTA(コモディティー・トレーディング・アドバイザー)など超短期筋が、想定外の日銀利上げと、後手にまわったFRB(米連邦準備理事会)利下げという口実で日米株式市場に先物売り攻勢を仕掛けた。
実は、彼らも焦っていた。大規模な円キャリートレードが、円安サイクル終了近しとの判断で、一気に巻き戻され、巨額の損失を被ったからだ。
このようなケースでは、ヘッジファンドは、新たな仕掛けで、損失を取り戻すべく動く習性がある。そこで、絨毯(じゅうたん)爆撃のごとき日本株先物売りに打って出たのだ。
結局、一般個人投資家や機関投資家が巻き込まれ、右往左往する流れになっている。バリュエーションを語るのも虚しい。
NISA(少額投資非課税制度)初心者からは、パニック的な悲鳴が聞こえてくる。複利効果が重要だ、長い目で見よ、と説いたところで、リスク耐性が鍛えられていない。
こればかりは、セミナーや書物で教えることは出来ない。胆力は、今回のようなショックを体験しつつ醸成されてゆくものだ。
対して、プロの間では「パウエル議長と植田総裁の痛恨の判断ミス」説が有力視されてきた。
FRBは、不況予防対策として、7月に利下げ開始すべきであった。日銀は、利上げを見送るべきであった、との見解だ。
既にNY市場で、合言葉が「FRBには逆らうな」から「FRBを疑え」に変わったが、日本市場でも「日銀はリスペクトすべき」から「日銀を疑え」に転換しつつある。
外国人投資家の間でも「ミスター・ウエダ、過てり」の批判的論調が増えてきた。
豊島逸夫(としま・いつお)
豊島&アソシエイツ代表。一橋大学経済学部卒(国際経済専攻)。三菱銀行(現・三菱UFJ銀行)入行後、スイス銀行にて国際金融業務に配属され外国為替貴金属ディーラー。
チューリヒ、NYでの豊富な相場体験とヘッジファンド・欧米年金などの幅広いネットワークをもとに、独立系の立場から自由に分かりやすく経済市場動向を説く。
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUB0528B0V00C24A8000000/
引用元: ・【外国人投資家、巨額の損失】日銀・植田総裁を批判 「ミスター・ウエダ、過てり」 「植田総裁の痛恨の判断ミス」
ざまぁ
日本が必死に株価だけ無理矢理釣り上げてたんだから一緒になって買って天井で売るでしょ外国人は普通に
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