【米アリゾナ大学研究】新型コロナウイルス感染後遺症、女性と社会経済的地位の低い人々に多く見られ、ワクチンの登場前に後遺症を発症した人の多くは、まだ体調が悪い

ポストCOVID-19状態としても知られるロングCOVIDは、一般的に急性COVID-19の後3か月以上症状が続くことと定義される。

この状態は多くの臓器系に影響を及ぼし、損傷を与える可能性があり、重度で長期的な機能障害と、疲労、認知障害（しばしば「ブレインフォグ」と呼ばれる）、息切れ、痛みなどの幅広い症状につながる。

ロングCOVIDは、すべての年齢層と子供を含むほぼすべての人に影響を与える可能性がある。女性と社会経済的地位の低い人々に多く見られ、そのような違いの理由は研究中である。

研究者らは、ロングCOVIDから徐々に回復する人もいる一方で、何年も症状が続く人もいることを発見した。ワクチンの登場前にロングCOVIDを発症した人の多くは、まだ体調が悪い。

ヤンコ・ニコリッチ医学博士、本論文の主任著者、アリゾナ大学健康科学部のエイジス・コンソーシアムのディレクター、アリゾナ大学ツーソン校医学部の免疫生物学科教授兼学科長、BIO5研究所メンバー
ロングCOVIDは、甚大な人的被害と社会経済的影響を伴う壊滅的な病気です。詳細に研究することで、メカニズムを理解し、この病気に対する治療のターゲットを見つけるだけでなく、筋痛性脳脊髄炎/慢性疲労症候群や線維筋痛症など、感染に関連する他の複雑な慢性疾患に対する治療のターゲットも見つけられることを期待しています。」

ワクチン接種を完全完了し、ブースター接種も済ませていれば、長期COVIDになるリスクは大幅に低くなります。しかし、世界中で3%～5%の人が、急性COVID-19感染後に長期COVIDを発症しています。

米国疾病予防管理センターによると、米国の成人人口の約4%～10%が長期COVIDに罹患しており、COVIDに感染した成人の10人に1人が長期COVIDを発症しています。

このレビュー研究では、体内での元のウイルスの持続、正常な免疫反応の阻害、初期感染が軽度だった人でも見られる微細な血液凝固など、幅広い生物学的メカニズムが関与していることも判明しました。

長期COVIDの実証済みの治療法はまだなく、現在の管理では症状の緩和やリハビリテーションの提供に重点が置かれています。研究者らは、長期COVIDを診断・監視し、病気の根本原因に対処する治療法を見つけるために、血液検査などのバイオマーカーの開発と試験が緊急に必要だとしています。

感染を避けること（例えば、混雑した屋内ではぴったりフィットするマスクを着用する）、COVID-19に感染した場合はすぐに抗ウイルス薬を服用すること、感染中に激しい運動を避けること、COVIDワクチンとブースターを最新の状態にしておくことなどにより、ロングCOVIDを発症するリスクを下げることができる。

「ロングCOVIDは悲惨な状態だが、慎重ながらも楽観できる根拠はある」と、オックスフォード大学ナフィールドプライマリケア健康科学部の教授で、この研究の筆頭著者であるトリシャ・グリーンハル氏は述べた。「さまざまなメカニズムに基づく治療法が研究試験でテストされている。

有効性が証明されれば、特定のサブグループの人々を精密治療でターゲットにすることができる。治療法はさておき、ロングCOVIDが個人、家族、社会に多大な社会的、経済的負担をかけることはますます明らかになっている。

特に、2年以上体調が悪く、生活が一変することが多い「ロングホーラー」を治療し、サポートするより良い方法を見つける必要がある」

https://www.news-medical.net/news/20240802/Exploring-long-COVID-Insights-into-prevalence-pathophysiology-and-treatment.aspx

新たな研究が長期COVIDの規模と影響を浮き彫りに
https://healthsciences.arizona.edu/news/releases/new-study-highlights-scale-and-impact-long-covid