三重大学は18日、産業用大麻の研究開発を進める「神事・産業・医療用大麻研究センター」を開設したと発表した。
麻薬成分が少ない産業用大麻は古来、神社のしめ縄や衣料などに活用されてきた。
近年はバイオプラスチックやバイオ燃料の原料として再注目されつつある。
センターは各学部と連携し、新品種の開発や効率的な生産技術の確立を進め、産業用大麻の安定的な生産を支援したい考えだ。(松岡樹)産業用大麻はかつて、衣類や漁具など幅広く利用された。
1950年代半ばには全国で約3万7000人の生産者がいたとされる。
その後、外国産の繊維や化学繊維が普及して需要が減った。
国の規制強化もあり、2022年時点の大麻の生産者は27人に減った。
一方、海外では産業用大麻が「環境に優しい新素材」として注目され、自動車の車体や建材など様々な分野で活用が進む。
三重大の研究センターが扱う産業用大麻は、麻薬成分の含有量が極めて低いもの。
2~3年後までに、神事に使われるしめ縄などに適した新品種を開発することを目標に掲げる。
向精神作用のない有効成分の活用なども研究する。
三重大は昨年3月から、産業用大麻とゆかりのある明和町や生産者と連携し、大麻を生産するプロジェクトを始め、明和町の斎宮跡などで無毒性の大麻を栽培してきた。
センターは医学部や工学部と連携しながら、生産プロジェクトも支援していく方針だ。
18日に記者会見した諏訪部圭太センター長は
「学内の全ての学部を巻き込み、産業や医療に応用・活用していく道ができた。さらなる実用化に向けて研究していきたい」と力を込めた。
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