筆者は外務省を担当し、日本の外交政策を取材している。日韓両政府が1981年から続ける「日韓記者交流」の事業を通じ、6月24日〜29日にソウルに滞在した。韓国の政府やメディア、大学の関係者に接する機会を得た。
現地で意識したのは90年代半ば以降に生まれたZ世代の対日感情だ。日ごろの取材で、日韓関係は歴史問題を背景にした複雑な世論で揺れ動き、若年層の考えが未来を左右すると感じていた。
■世代間で日本への印象に違い
植民地支配された側の韓国の政権は保守・革新を問わず、日本との距離に気を払い、時に政治カードに使う。現地では、韓国は歴史問題から入るため、国民の日本のリーダーに対する印象は日韓関係の認識の持ち方による、という声もあった。
韓国はなお「反日」的な教育を続ける。歴史の授業では日本の植民地時代を詳細に説明し、近現代を紹介する下巻の大半が日本への否定的な記述で埋まる教科書もある。幼い頃から日本の統治時に使われた西大門刑務所歴史館などを見学するとも聞いた。
その中で日本の非営利団体「言論NPO」などが23年8〜9月にした日韓共同世論調査に一つの光明を見つけた。
日本について「良い印象」と答えた韓国人は28.9%で「良くない印象」と答えた人は53.3%だった。良くない印象の理由はいずれも歴史・領土の問題に起因した。
年代別は違う側面を示す。韓国の70代以上で2割強に過ぎない良い印象は、30代未満で一気に増え、20代だと46%、20代未満だと50%に達した。30代未満が日本に良い印象を抱く年代別の割合として最も大きい傾向は続いており、Z世代がけん引する。
日常に「反日」が根付くなかでも、Z世代の日本への印象は他世代と異なる。祖父母と別居する核家族が増え、積極的に歴史教育をしない戦後世代の父母も多いという。
■社会より個人の利益を優先
民間調査会社の韓国リサーチの調べによると、同国のZ世代は半数以上が自らの世代を「社会の利益より個人の利益を優先する」と評価する。
国家間の歴史より、目の前の日本の文化を受け入れたいとの感情を優先しているのかもしれない。90年代後半から日本の大衆文化が段階的に解禁され、韓国のZ世代は生まれた時から日本産のアニメや食が身の回りにある。
23年には日本映画ブームが到来し、漫画「スラムダンク」が原作の「THE FIRST SLAM DUNK」やアニメ「すずめの戸締まり」が大ヒットした。ブームは日本食への憧れや日本の各地域の「聖地化」といった好循環も生む。
韓国を初めて訪れた筆者にとって日本食の飲食店の多さは予想を超えた。ソウルで入ったお好み焼き店は若年層であふれ、最新のJ-POPがかかっていた。
日本の農林水産省の集計によると、23年時点で韓国にある日本食レストラン数は1万8210店と、中国、米国に次ぎ3番目に多い。
日本と経済力の差が縮まったことで、若年層は日本との関係を対等、あるいはそれ以上ととらえ、歴史にこだわらず経済や安全保障を軸に未来志向で考える――。
韓国で聞いた一つの見方は腑(ふ)に落ちた。韓国銀行(中央銀行)によると同国の23年の1人当たりの国民総所得(GNI)は初めて日本を上回った。日韓の1人当たりの国内総生産(GDP)が30年代前半に逆転する予測もある。
厳しさを増す東アジアの安保環境も対日世論に影響を与えている。核・ミサイル開発を続ける北朝鮮はロシアとの連携に走り、中国は覇権主義を強める。手をこまねけば、ひずみは若年層がこうむる。
尹錫悦(ユン・ソンニョル)大統領は日本との関係改善を進める。曺良鉉(チョ・ヤンヒョン)国立外交院教授は「(歴史をめぐる)反省や謝罪は日本が決めることで、韓国としては経済や安保で関係を強めていく」と説く。
■日本の「親韓」は女性がけん引
日本のZ世代は韓国をどうみているか。言論NPOなどの調査では、30代未満が韓国に良い印象を持つ年代別の割合で大きかった。韓国と同じ傾向と言える。
早大の研究グループがネットで実施した「国際化と市民の政治参加に関する世論調査2024」も、20代以下が全世代で韓国への親近感を持つ割合として最も大きかった。
以下全文はソース先で
日経新聞 2024年7月19日 5:00
https://www.nikkei.com/article/DGXZQOUA111QH0R10C24A7000000/
引用元: ・【日経新聞】Z世代がつくる日韓関係2.0 「反日・嫌韓」を越えて [7/19] [ばーど★]
ムリだろうが
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