多くの人は日本を輸出大国と考えがちですが、これは誤解です。実際、日本はかつて貿易黒字の大国でしたが、その主な原因は輸入額が少なかっただけであり、日本が輸出大国であったことを意味するものではありません。
事実、世界銀行がまとめた2022年の対GDP輸出比率ランキングでは、日本は153位です。先進国の中で日本より低いのは、日本より国内市場が非常に大きいアメリカだけです。
しかし、アメリカは1人当たりGDPが日本の1.6倍もあります。その違いを考慮すると、日本は先進国の中で、対GDP輸出比率ランキングが最下位と位置づけても問題ないと思います。
日本の対GDP輸出比率は21.6%で、先進国の平均33.9%、EUの56.3%、さらには途上国の22.6%よりも低いのです。
確かに、内閣府のデータによると、GDPに占める輸出は1994年度の8.8%から18.8%まで増加していますが、円安を活かせば、さらに輸出を増やすことが可能です。
その伸び代が最も大きいのは、中小企業です。
内閣府のデータによると、2020年度において、大企業の輸出額は全体の輸出額の92.7%を占め、中小企業はわずか7.3%にすぎません。
輸出企業数を見ると、大企業は32.6%、中小企業は67.4%です。大企業の28.3%が輸出を行っているのに対し、中小企業は21.2%で、時系列で見てもその比率はあまり向上していません。
諸外国と比べて、日本の中小企業には大きな成長の余地があります。OECDの報告(Facilitating SMEs Access to International Markets, 2004)によると、OECDの中小企業は輸出の約3割を占めていますが、日本ではわずか7.3%です。
アメリカでは大企業が輸出額の65%(A Profile of U.S. Importing and Exporting Companies, 2020-2021)、EUでは62%(SMEs Weight in EU’s International Trade in Goods)を占めるのに対し、日本では92.7%です。
輸出企業数で見ると、アメリカは中小企業が97.4%、EUは97.9%を占めていますが、日本は67.4%にとどまっています。
単純に、中小企業が先進国並みに輸出を増やせば、日本の輸出額を大幅に増やせるでしょう。2021年度の輸出額を104兆円とすると、その93%が大企業による輸出で96兆円、中小企業の輸出は8兆円です。
中小企業の輸出額を全体の3割まで増やせば、中小企業の輸出は41兆円となり、現在の5倍に増加します。これにより、輸出額は1.3倍に増え、GDP成長率も6%上昇する要因となります。
輸出総額は対GDP比で25%まで増加します。さらに先進国平均に追いつけるとすれば、1.4倍の拡大余地があります。
こういう主張をすると、「日本の中小企業は商社を通して輸出をしているから、大企業の統計に含まれている。比較は困難だ」と反論されることがあります。しかし、日本の輸出ランキングが世界153位にとどまっていること、輸出が自動車と部品に偏重していることから、その要因は定量的に極めて限定的な説明能力しかないと思います。
日本は人口減少が進んでいるため、今後国内消費者が減少し、供給が余ることになります。国内経済にとって最も重要な生産年齢人口は、1995年からすでに1300万人も減って、2060年までさらに3000万人も減少すると予想されています。
これは一般的に労働量不足の深刻化と捉えられがちですが、生産年齢人口の減少は消費者の減少も意味します。消費者の減少は経済に大きな打撃を与えます。
生産年齢人口の減少の悪影響は、消費者の数が減って、経済の消費総額を減らす効果だけではありません。高齢化により、1人当たりの消費額も減少します。日本では52歳をピークに所得が増えても支出が減少する傾向があり、これは世界的にも確認されています。平均年齢が50歳に迫る日本では、これが個人消費の伸び悩みに拍車をかけます。
これを補うために、余った供給を海外に輸出するのは重要な選択肢の1つです。
引用元: ・【デービッド・アトキンソン氏】2022年の対GDP輸出比率ランキングでは、日本は153位、輸出が途上国より少ない 「構造的要因」排除せよ
唯一の活路と言わんばかりにむりやり円安に振って国民痛めつけた結果が今だよ
蓋を開けてみたらただの国家的自殺やんか
日本企業の国産品あまり身の周りにないやろ
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