UBS銀行「トランプ氏の60％関税現実化すれば中国の成長率半分に」

スイスの投資銀行ＵＢＳは１６日、トランプ氏が当選後に公言した通り中国からの輸入品に６０％の関税を課す場合、翌年の中国の国内総生産（ＧＤＰ）は２．５％減少するという報告書を発表した。

中国国家統計局が１５日に発表したところによると、上半期の中国のＧＤＰ増加率は５．0％を記録した。ＵＳＢの汪涛エコノミストは、関税が現実化する場合には中国の未来のＧＤＰ成長率を２．５ポイント引き下げる恐れがあり、これは中国経済だけでなく世界経済にも大きな衝撃になるものと予想した。

ＵＳＢの報告書は米国が中国からの輸入品に６０％の関税を課した後も中国が第三国を通じて迂回輸出せず、米国に報復せず、他の国が米国のように中国に追加関税を課さないとことを前提としたもの。

ＵＳＢは経済成長を阻害する要因のうち半分は輸出減少によるもので、残りは消費と投資に及ぼす打撃に由来すると分析した。汪氏は「時間が過ぎて他の国を通じた輸出と生産が増え米国の関税引き上げの影響は減るだろうが他の国も中国からの輸入が大きく増え米国と同様の関税賦課を考慮している」と指摘した。

これと関連し台湾紙の聯合報はトランプ氏の当選と米国の６０％の追加関税賦課が米中経済と貿易で最も大きい「灰色のサイ」になるだろうだと指摘した。灰色のサイとは、発生する可能性と波及力が大きく、一旦暴走し始めれば手が付けられなくなるリスクを指す。

現在の中国経済で輸出は振るわない不動産と内需を埋める核心成長エンジンだ。純輸出は中国の経済成長で１４％を占め、先月の中国の貿易黒字は９９０億５０００万ドルで過去最高を記録した。中国の輸出好況は内部でも懸念を起こしている。多くの国が中国の輸出品が自国の生産能力を代替し工場が廃業するほかなく、経済成長に害が及ぶことを心配している。これに伴い、中国製品に関税を課したり追加措置を考慮する国が増えている。

ＵＢＳは中国の来年の成長率を今年より少ない４．６％、２０２６年は４．２％と予想する。中国が関税に対応に向け浮揚策を一部導入したが今後２年間の経済成長率もやはり予想を下回る可能性が高い。ただ６０％の関税は米国経済にもインフレを誘発し、金利の再引き上げを呼び起こしかねず、トランプ氏当選後に現実化する可能性は大きくないと聯合報が専門家の話として報道した。

◇中国外相「米中関係、安定した発展勝ち取るだろう」

一方、中国の王毅外相は１６日、米国と健全で安定した関係発展を勝ち取ると強調した。これに対し一部では習近平中国国家主席執権後に維持してきた戦狼外交基調から抜け出す兆しと解釈している。

王外相は１６日に党理論誌『求是』最新号への寄稿で、「強大国間の協力と肯定的相互作用を促進する。米中関係の健全で安定的であり持続可能な発展の実現を勝ち取る」と強調した。韓国を含む周辺国との外交に対しては「隣国と友好的に接し、隣国をパートナーとする周辺外交方針を堅持し、周辺国との友好と相互信頼、利益の融合を深めるだろう」とした。

北朝鮮の核を含む韓半島（朝鮮半島）問題に対しては普遍的安全保障に立脚し「建設的役割を続けて発揮するだろう」と言及した。王外相の寄稿に対し北京の国際関係専門家は「来年１月に発足する米国新政権が中国包囲網をさらに強化すると予想し中国の友邦を拡充するグローバル統一戦線の一環」と分析した。

中央日報日本語版 2024.07.17 17:18
https://japanese.joins.com/JArticle/321273