コロナ禍を経て、日本に来る中国人留学生の数は少しずつ増え始めている。近年は江浙滬とよばれる江蘇省・浙江省・上海一帯の小康家庭(比較的裕福な家庭)の子息が多く来日し、高田馬場に集まり、中国人留学生を対象にした大学受験予備校や飲食店に通っている。
留学生の多くはアルバイトを一切せず、学費・生活費は仕送りでまかなっている。服や持ち物はブランド品で着飾り、月の生活費が30万円に達する学生も多く、中には50万円を超える学生もいる。しかし裕福で恵まれた留学生生活を送っているように見える彼らが、未来に希望を抱いているのかというと必ずしもそうではない。むしろそこには迷いと不安が満ちている。
筆者はパンデミックが起きる前年の2019年に来日した。当時の中国人留学生は未来に対する希望に溢れていた。しかし、この5年で留学生を取り巻く環境は大きく変わった。豊かになりつつも、将来への不安を隠せなくなってきた。私はその雰囲気を身をもって経験している。
■「欧米に行くカネがないから」日本へ来る中国人たち
中国の経済成長は続くが、不動産バブルの崩壊による失業率の上昇や消費意欲の低下といった変化の兆しも確実にある。中国の若年層は、右肩上がりの時代を生きてきて経済的豊かさを得た親世代とは違い、焦燥感にかられている。
幼少期から激しい学歴競争にさらされる一方、安定した就職先も見つけることができず、貧富の差も拡大し続けている。日本への留学生の中には、「就職ができないから」「欧米に行くにはカネがないから」と日本に来る者も少なくない。
浙江省から来日したAさん(女性・24歳)はこう語る。「中国国内の大学を卒業する時には、中国国内で働こうと考えて何十もの会社に応募しましたが、ひとつも内定はもらえませんでした。ちょうどコロナ禍の最中で、卒業しても家にいるしかなく、状況を打破しなければと、両親と相談して、日本に留学することに決めました」
既に大学を卒業後3年目に入っている。待ったところで、何か解決したわけではない。中国国内の就職環境は、以前に増して厳しくなっている。
「日本に来る前は、博士号を取得して中国の地方都市で教職に就きたいと思っていました。ただ、急激に高学歴化が進む中国では、大学教員ポストの競争が激化して、就職できるとしても非正規雇用ばかり。運良くそれで大学で働いても、5年以内に成果を出して正規採用されないと解雇されてしまう。プレッシャーは大きいです。正直、自分の将来が全く見えなくて不安でいっぱい。結局、まだ大学院にも合格していないし、日本に残れるかも分からない。もう年も若くない」
中国で生活する同年代の友人は結婚をしはじめた。当初イメージしていた「博士号を取って中国に戻って大学教員に」というような将来への意欲はほぼなくなり、日本のそこそこの大学院に入り、日本で仕事を見つけたいと考えるようになっている。
■日本人の想像を超える中国の景気悪化
(略)
■「中国での就職は難しい。でもニッポンでは仕事が簡単に見つかる」
一人っ子政策の影響もあり、両親は学費を出してくれる。Cさんの周りにも、月20万~50万円程度の仕送りをもらっている者は多い。たが、いつまでも両親に頼ることはできない。老いた両親を支えるのも「一人っ子」だ。
「私は日本語力にだけは自信があります。中国に戻っての就職は難しそうですが、日本では働き手不足の問題がここ数年でも話題になっています。例えばIT関係の仕事は日本語がしっかりできれば、中国より簡単に見つかるでしょう。中国のIT業界では、35歳を過ぎると仕事が見つからなくなる。若くて知識吸収力と体力があるほうが使い勝手がよい。でも、日本では年をとっていても、使えるだけ使おうとしている。それだけ人が足りなくなっている。なので日本で就職したいです」
親世代より豊かになったが、自国の今後には何の光も見いだせない。彼らにとっては、少子高齢化・人口減少と国際社会における地位低下の中で、薄暗い夜道を歩き続ける日本のほうが、まだ明るいのだろうか。
全文はソース先で
7/16(火) 6:12 文春オンライン
https://news.yahoo.co.jp/articles/85aa4e3049e73868d9dd95530725b205bb4a3bd5
引用元: ・【文春】「中国には仕事がない」「でもニッポンなら…」絶望の中国人留学生たちが日本に大挙する納得の理由 [7/16] [ばーど★]
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