刑務所は運動タイムに外出れる
まだ刑務所じゃないから
お日様、見たいな。今の私にとってお日様は、高級贅沢品だ。だって私の部屋、まっ暗。ずっとまっ暗なんだもん。電気が点いてたって、それでどれだけ明るく照らされたって、まっ暗なもんは、まっ暗なんだよ。なんにも見えないんだよ。まっ暗じゃないか。なんも見えないじゃないか。これやあ もう字だって書けません。書きたくありません。あぁ。これは、お日様が私の目の前にあらわれてくれたって、私は まっ暗なのかもしれないな。今日の私はそうなの。今日だけの私はそうなの。
そういえば、検事さんの取り調べに行くときは、お日様、見してもらえました。刑事さんの取り調べと違って、検事さんの取り調べは、「検察庁」っていう、めちゃでか建物(お城みたい!)の中で行われるんです。だから、そこへ行くために、留置所から手錠してもらって、めちゃでかバスに乗せてもらい、むかいます。
めちゃでかバスの窓は、外から私(犯罪者)が見えないように、一面黒いシールが貼ってあります。でも、私側かはら、シールの色で黒みがかっては、いるものの、自由にお外の世界を見してもらえました。
お外の世界を見してもらえると、うれしいこと たくさんあります。
お空がとっても大きいこと。お日様がこの世界を明るく照らしてくれていること。人が今日という1日を時間と共に生きて暮らしていること。
そして、それが全部全部 当たり前じゃないってことに気づけた自分のこと。
それはとってもうれしいことです。
でも、私がお外を見してもらって1番うれしかったことは、通り道に、めちゃでかペットショップが見れたことです。
うそです
うそです そんなの 全部 うれしくなんてなかった
です どうでもよかった どうでもいい作り話うそつき
わたしが忘れられないのは わたしが忘れられないのは
ペットショップ で わんわんが 毛を きってもらってたこと。ニコニコで。きってるお姉さんも にこにこで。
わたしは それが 忘れられなくって
うれしくなんて ないです 悲しい、悲しかった
わたしと、あのお姉さん なにが
ちがいますか 私は、なんで こうですか
(令和6年7月6日)
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