人材派遣業者メイセルの関係者は25日、中央日報との通話で事故が起きた電池メーカーのアリセルとの関係について「われわれは請負業者ではなく派遣手数料だけ得て人材を提供する派遣業者。業務管理監督はいずれもアリセルで行い、われわれはアリセルの工場に行ったことはない」と話した。彼は「死亡した外国人18人全員がメイセルの所属」と話した。
メイセルは1カ月ほど前の5月7日に一次電池製造業を事業目的として設立、登記した業者だ。この業者の所在地は火災発生現場であるアリセル工場第3棟2階の包装作業場だった。アリセルがメイセルを通じて派遣形式で人材派遣を受けたのではなく、社内下請け業者の体裁を整えるためのものとみられる。
メイセル関係者は、4月までは「ハンシンダイヤ」という業者名で人材を供給したと話した。彼は新たな会社を作って住所地をアリセルの作業場としたことについて「だれでもそのようにする。なぜなら労働者派遣許可を受ければひとまず手続きも難しく労働部の点検も多いからだ」と説明した。
法務部などによると、中国人17人、ラオス人1人の外国人死亡者のビザは在外同胞(F4)ビザが11人、訪問就業同胞(H2)ビザが4人、結婚移民(F6)ビザが2人、永住権(F5)ビザが1人と確認された。F4ビザとH2ビザは在外同胞が主に発給を受けるビザで、死亡者のうち多くが在中同胞であることと関連する。
雇用労働部によると、事業所がH2ビザの発給を受けた外国人を雇用するためには「特例雇用許可」を受けなければならない。製造業、建設業、農畜産業など一部業種と、従業員300人以下あるいは資本金80億ウォン以下の事業所などに限り特例雇用許可が可能だ。アリセルの資本金は250億ウォンで基準を超過している。
これに対し雇用労働部関係者は「アリセルとメイセルいずれも特例雇用許可を受けていないものと確認された。H2ビザを持っている移住労働者は合法な滞在資格を持っているが、会社が違法雇用あるいは派遣をした形態」と指摘した。
しかしこの日アリセルの親会社であるエスコネクトのパク・スングァン代表は事故現場で会見し、「アリセル火災事故と関連し多くの人命被害が発生してとても残念に思い、何より不慮の事故で故人となった方と遺族に深い哀悼と謝罪を申し上げる」としながらも、「だが違法派遣はなく、安全教育も十分だった」と話した。
コスト削減と責任所在回避に向け、単純労働を派遣形態の雇用で埋める慢性的な雇用実態が被害を増やしたという指摘も出た。公益人権法財団「共感」のファン・ピルギュ弁護士は「H2特例雇用許可業者ではないのに雇用をする形態ではなくても多くの事業所で中間に派遣業者が関わっている場合が多い」と話した。
法務法人ウォンゴクのチェ・ジョンギュ弁護士は「安い労働力に中毒となった韓国の産業現場に起因する人災。派遣労働者法によると派遣できる業務は特定されているが、バッテリーを包装する単純業務でこれに該当しない」と指摘した。その上で「直接雇用すべき人材を派遣形式であれ下請け形式であれ違法・便法雇用したもの。アリセルとメイセルが元請けと下請けの関係ならば同じ建物でアリセルが管理監督を引き受けた状況がみられ、偽装下請けの可能性が大きい」と説明した。彼は「日雇い・短期労働者は安全教育や非常時の備えに弱くならざるをえない」ともした。
中央事故収拾本部のミン・ギルス中部雇用労働庁長は「現在派遣者らがどのような形態でどこの所属として勤務したのか確認している。その上で産業保健法・重大災害処罰法違反の有無を調査する予定」と話した。
ファン弁護士は「徹底した事故原因究明と同時に移住労働者遺族支援が重要だ。入国便宜を図る一時的な支援も良いが、これを超えて死亡者の身元確認と事故原因分析まで長い時間が必要になるだろうが、この期間に移住労働者遺族らが韓国国内で安定的に居住し情報提供を受けられるようにすべき」とした。
中央日報日本語版 2024.06.26 07:05
https://japanese.joins.com/JArticle/320355
引用元: ・【韓国】リチウム電池工場火災の外国人死亡者、18人全員「違法派遣」疑惑 [6/26] [ばーど★]
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