自動運転実験でトップを独走する中国の凄み
当局の統制で中国メーカーの実験に障壁なし
1100万人の人口と450万台の自動車、8車線の高速道路、そして長江の濁流の上にそびえ立ついくつもの橋を抱える中国中部の都市・武漢では、交通量の多い通りで世界最大の無人自動運転車実験が行われている。
500台のタクシーがコンピューターの操作で走り回り、安全確保を補助する運転手を乗せていないことも多い。それらのタクシーを運営する大手テック企業のバイドゥ(百度)は先月、「ロボットタクシー」を武漢でさらに1000台増やすと発表した。
中国全土の16以上の都市が、企業による自動運転車の公道テストを許可しており、少なくとも19社の中国自動車メーカーとそのサプライヤーが自動運転分野で世界的な主導権を確立すべく競い合っている。ここまで前のめりに実験を進めている国はほかにない。
不安につながる事故情報は検閲で封殺
政府も企業に多大な支援を提供している。ロボットタクシー用に路上試験エリアを指定している各都市に加え、検閲当局も、安全に関わる事故や衝突事故などに関するネット上での議論を制限。まだ初期段階にある自動運転技術に対する市民の不安を抑えている。
自動車コンサルティング企業J.D.パワーの行った調査によると、中国のドライバーはアメリカのドライバー以上に、コンピューターに車の操作を任せることに前向きだ。
引用元: ・ニューヨークタイムズ「自動運転実験でトップを独走する中国の凄み」 [271912485]
続き
「安全性について過剰に心配する必要はないと思う。安全性の承認を受けているはずだから」。多くのバイドゥ・ロボットタクシーが立ち寄る武漢の晴川閣近くで小さな食料品店を経営するジャン・ミンはそう語る。
中国が自動運転車の開発でトップを走っているもう1つの理由は、データの管理が厳しく、絶えず強化されてきたことだ。中国企業はアメリカやヨーロッパに重要な研究センターを設置し、現地で得られた成果を本国に送っている。
しかし、中国で得られた研究成果は国外に持ち出すことが一切許されていない。その結果、外国の自動車メーカーが、中国で学んだことを他国で販売する自動車のために利用するのは困難となっている。
他国では安全問題で実験停滞
安全性の問題も中国のリードにつながっている。中国が自動運転技術の実験を加速させる一方で、ほかの国の企業や規制当局は慎重姿勢を強めているためだ。
ゼネラル・モーターズ(GM)のロボットタクシーサービス「クルーズ」は昨年秋、歩行者をはねて引きずる事故を起こし、アメリカでのサービスを停止した。歩行者が人間の運転する別の車両にはねられ、ロボットタクシーの進路に飛び出してきたことで起きた事故だった。
その後、カリフォルニア州の規制当局は同社の運行許可を取り消した。クルーズは現在、アリゾナ州フェニックスでロボットタクシーのテストを限定的に再開している。
グーグルの自動運転車部門だったウェイモは、フェニックス郊外とサンフランシスコで200台以上、およびロサンゼルスとテキサス州オースティンで50台近くの自動運転車をテストしている。ウェイモは先月、連邦規制当局から2度にわたって、同社の自動運転車の安全性が調査の対象になっているという通知を受けた。
続く
続き
テスラの先を行く高度な運転支援システム
アメリカのテスラは、どの企業よりも大きくコンピューターによる運転制御に賭けてきた。しかし、同社が2014年に導入した高速道路走行用システム「オートパイロット」と、街路・高速道路走行用の新たなシステム「フルセルフドライビング」は、本当の意味での自動運転ではない。ドライバーは道路から目を離さないことが求められ、手はハンドルに添えていなければならないからだ。
テスラの最高経営責任者(CEO)イーロン・マスクは4月5日、「テスラ・ロボタクシーを8月8日に公開する」と発表した。
中国の電気自動車(EV)メーカーの多くは、量産車で高度な運転支援機能の導入を進めている。
中国政府は6月4日、NIO(蔚来汽車)、BYD(比亜迪)、SAICモーター(上海汽車)を含む中国の自動車メーカー9社に対し、テスラのフルセルフドライビングよりも高度な運転支援システムのテスト開始を認可した。少なくとも当初は公道ではなく、制限されたエリア内でテストが行われる予定だ。
バイドゥと電子機器大手のファーウェイ(華為技術)は、そうした自動運転システムの一部または全部を多くの中国自動車メーカーに供給している。またバイドゥは、ジーリー(浙江吉利)と合弁会社ジユエ(極越)を設立し、自動運転車を生産している。
中国自動車技術者協会の予測によれば、2030年には中国で販売される自動車の20%が完全な自動運転となり、さらに70%が高度な運転支援テクノロジーを搭載することになるという。
続く
いけいけどんどんでやれるわな
コメント