韓国政府は正式メンバーとしてG7に加入することを目指している。こうした中、今月14日の韓国紙の中央日報は、米戦略国際問題研究所(CSIS)が12日、「G7を韓国とオーストラリアを含んだG9に拡大するべき」と提言したことを伝えた。
13日、イタリア南部のプーリア州で開幕し、15日まで開かれた今回のG7サミットには、G7メンバー以外にインドやケニア、ブラジル、アラブ首長国連邦(UAE)など、11カ国が招待国として出席した。
サミットでは、ロシアによるウクライナ侵攻の対応や、中国による電気自動車(EV)の過剰生産問題、人工知能(AI)の規制などを議論した。14日には首脳宣言を採択した。
韓国はG7メンバーではないが、英国が議長国を務めた2021年と、日本が議長国だった昨年にG7サミットに招かれ出席した。
2021年のサミットには当時のムン・ジェイン(文在寅)大統領が出席。初参加に当時、与党の「共に民主党」(現野党)や政権中枢は歓喜し、
大統領府高官からは「韓国が事実上、G8に位置付けられたとの国際的な評価が出ている」との発言も飛び出した。
韓国は、昨年5月に広島で開催されたG7サミットにも招待された。ユン・ソギョル(尹錫悦)大統領はG7サミット拡大会合に出席し、外交・安全保障や経済のほか、発展途上国への支援や環境問題などに関する国際協力について議論した。
また、滞在中、岸田文雄首相と共に広島市の平和記念公園にある韓国人原爆犠牲者慰霊碑を韓国の大統領として初めて訪問したほか、日韓首脳会談、日米韓首脳会談も行った。
しかし、今回のイタリアでのサミットに、韓国は招待されなかった。
4月、招かれないことが明らかになるや、韓国大統領室は「イタリアは自国内の移民問題と関連するアフリカ・地中海問題を中心に対象国を決めたと理解しており、尊重する」との立場を明らかにした。
しかし、野党からは当時、「尹政権はウクライナ戦争、中東情勢、朝鮮半島の新冷戦など、急激に変わる国際情勢を議論する重要な場から、事実上、排除されたもの」などと批判の声が上がった。
中央日報が伝えたところによると、米戦略国際問題研究所(CSIS)は12日(現地時間)、報告書を通じ、G7に韓国とオーストラリアを追加してG9にすべきと提言した。
記事は「(CSISが)G9体制への拡大を提案した理由は、G7の影響力の弱まりと欧州に偏重された現体制の限界と関連がある」と指摘した。
CSISは報告書で「G7でアジアを代表する国は一つ(日本)だけで、開発途上国の声も排除されている」とし、「このような構造ではグローバルガバナンスを先導できない」と懸念も示している。
米国では2020年、当時、米国の大統領だったドナルド・トランプ氏がG7の枠組みについて「時代遅れだ」と批判。G10またはG11に拡大したい意向を示したことがある。
今回、またしても米国から(CSISは米国有数のシンクタンク)G7の拡大論が提言されたが、バイデン政権となってから、関連する議論は盛り上がっていない。
また、前出の中央日報の記事は「現在、韓国のG7進出に反対する陣営は加盟国の増加で発言力が弱まることを懸念する欧州国家だ」とし、「2022年議長国のドイツと今回の議長国のイタリアの欧州国家2か国は、いずれも韓国を招待対象から排除した」と指摘した。
グローバルの諸課題に対処する上で、G7に枠組みが限界に来ていることは明らかだ。
今回のサミットでは、活用と規制の在り方が焦点となっているAI(人工知能)についても議論されたが、この中で岸田首相からは、G7の枠にとどまらず、共通のルール作りを進めていくことが重要だとの提言が出された。
韓国が今回のサミットに招かれていたら、「IT先進国」としてAI分野についての議論に有意義な提言ができたかもしれない。
引用元: ・【イタリアでのG7サミットに招かれなかった】韓国 「今回のサミットに招かれていたら有意義な提言ができたかもしれない」
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