今後後遺症を訴える人が急増するに違いないと考えた私は、このコラムで述べたように「ポストコロナ症候群」という病名を付けてみたのですが、残念ながら当時はこの疾患の存在は医療者からも懐疑的でした。
しかし、その後世界中で後遺症の報告が相次ぎ「long-Covid」「Post-COVID-19 syndrome」「Post-COVID Conditions」などと呼ばれるようになりました。
日本では結局きちんとした病名が付けられず、今もたいていは単に「新型コロナ後遺症」と呼ばれています。
今回はそんな後遺症のなかで頻度の多い、動悸(どうき)が主症状の「POTS」について取り上げます。
2020年5月12日
保存新型コロナ 治療後に健康影響の懸念
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20200511/med/00m/100/001000c
心筋梗塞や脳梗塞に「かかりやすくなる」かも
2020年7月22日
新型コロナ 回復後も続くだるさや息切れ
https://mainichi.jp/premier/health/articles/20200721/med/00m/100/002000c
さて、今回お話したいのは下肢切断や脳梗塞といった“分かりやすい”後遺症ではなく、他人からは分かりにくいすっきりとしない症状についてです。実は5月の時点で、私はこういった患者さんを複数診ていました。ただ、それが新型コロナによるものなのか単に私の「印象」に過ぎないのかが分からないために記事にははっきりと書きませんでした。
ですが、その記事にも「ポストコロナ症候群」という言葉を使い、そういった後遺症がありうるのではないかということをほのめかしておきました。
そして2カ月がたちました。どうやら私の「印象」は、単なる印象ではなく、実際にポストコロナ症候群が存在する可能性が強くなってきました。
ポストコロナ症候群というのは私が作った言葉であり、普及しているわけではありませんが、ここではこの言葉で通したいと思います。
元来健康な30代の女性。2月末に原因不明の発熱とせきが生じ、せきは3月の下旬ごろまで続きました。
女性の前には夫に、さらにその前には夫の同僚に、同様の症状が表れていました。その同僚は、発症前にアジアへの渡航歴がありました。
同僚と夫は、症状が1カ月以上続いたものの、その後完全に回復しました。しかし女性だけは倦怠(けんたい)感がとれません。女性の前には夫に、さらにその前には夫の同僚に、同様の症状が表れていました。その同僚は、発症前にアジアへの渡航歴がありました。
同僚と夫は、症状が1カ月以上続いたものの、その後完全に回復しました。しかし女性だけは倦怠(けんたい)感がとれません。
血液検査や肺のCTに異常はありませんが、この女性の体に何か異変が起きているに違いないと私はみています。この女性が発熱とせきで悩んでいた2月下旬は、よほどのことがない限り新型コロナのPCR検査は実施してもらえませんでした。
ポストコロナ症候群というのは私が勝手に作った言葉ですが、米国のメディア「Voice of America」は「Post-COVID Syndrome」という言葉を使っています。
7月1日の記事「ポストコビッド症候群に苦しむ患者たち(Post-COVID Syndrome Plagues Patients)」で、現在イギリスで新型コロナから復帰後の後遺症に悩む人が多いことを紹介しています。
引用元: ・【谷口恭・谷口医院院長】私が新型コロナウイルスに感染すると後遺症が起こり得ると確信したのは2020年4月、残念ながら当時はこの疾患の存在は医療者からも懐疑的でした
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