幼い死者も出ており、保健機関も専門家もそろって警鐘を鳴らしている。
◆乳幼児は重症化しやすい 死に至ることも
百日せきは細菌感染を原因とする気道感染症で、空気を介して感染する。感染者1人から平均15人に伝染する非常に高い感染力を持つ疾患だ。
頻度の高いせきが長く続くのが特徴で、乳幼児では重症化しやすく、まれに死に至ることもある。高齢者や妊婦にも特別な注意が必要だ。
百日せきから身を守る唯一の方法はワクチン接種とされる。
乳幼児期の百日せき予防接種は世界各国で実施されているが、ワクチン接種率が低い世代があったり、ワクチンは受けても年数が経過して免疫が減衰したりするため、根絶には至っていない。
現在、百日せきの感染例は急増している。2023年はフランス全国で2件しか報告されなかった百日せきのクラスターだが、2024年はすでに4月までに約20件のクラスターが発生している。重症化するケースもあり、すでに死者が2人出ている(ル・モンド紙、5/16)。
この傾向は欧州全体でも同様で、フランスのほかクロアチア、デンマーク、イギリス、ベルギー、スペイン、ドイツで感染が急増している。
2023年は欧州全体で2万5000件の感染例が報告されたが、2024年は最初の3ヶ月だけで昨年1年を上回る3万2000件の感染例を記録した。(フランス・ブルー、6/4)
感染急増の一因として、パスツール研究所のブリス氏は、コロナ期間中の感染予防措置で免疫力が低下しているところに、コロナで遅れた流行のピークが来たことをあげている(フランス・アンフォ)。
欧州疾病対策センター(ECDC)も、新型コロナのパンデミック期間中に人々の百日せきへ暴露量が低かったことが、現在の急増の一因である可能性を示唆している。ECDCが5月8日に発表した報告書の中で述べるように、感染症の小規模な伝染は、「自然のブースターとして機能し、集団全体の免疫力の向上に寄与し、これにより大規模な流行のリスクを抑えている」と考えられるからだ。
さらに、ほかの専門家らは、パンデミック期間中、百日せきのワクチン接種率が低下したことも原因の一つではないかと述べている(フランス・ブルー)。
◆過去40年来、例のない速さ
この事態を受け、フランス公衆衛生局は4月半ばに全国的に注意を呼びかけた。
また、乳児の死者が出た北部のリールでも、病院の小児救急科責任者が、妊婦と新生児の家族にワクチンの追加接種を呼びかけている。
パスツール研究所のブリス氏は、メディアのインタビューに応え、「感染数の多さもさながら、これだけの速さで感染が広がるさまは、過去40年以上例のないことだ」と明言。
パリ・オリンピックとパラリンピックを控えたこの夏、感染がこれ以上広がらぬよう、対象者への追加接種の重要性を説いている。(フランス・アンフォ)
https://newsphere.jp/national/20240607-1/#:~:text=%E3%83%AF%E3%82%AF%E3%83%81%E3%83%B3
引用元: ・【フランス】百日せきが「異例の速さ」で急増、今年すでに昨年の11倍の感染者・・・百日せきワクチンの接種を呼びかけ
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