ラピダスが目指すのは、世界でまだ量産されていない回路線幅2ナノメートル(ナノは10億分の1)の半導体。人工知能(AI)や自動運転といった最先端技術向けに今後需要が増えると見込まれる。回路線幅は微細なほど性能が高く、現時点で日本の半導体メーカーが作れるのは自動車や家電などに使われる40ナノの汎用(はんよう)品にとどまる。
追加の補助金は、北海道千歳市の工場や生産設備のほか、製品を最終加工する「後工程」の技術開発に充てる。製造の中心「前工程」と分業するケースが多いが、ラピダスは両工程を一貫して手掛けることで納期を短縮し、先行する海外勢を一気に逆転したい考えだ。
前工程の技術開発でも、2ナノの製造技術を持つ米IBMに派遣するエンジニアを年内に100人増員。販路開拓のため、IT企業が集積する米シリコンバレーに営業拠点も設立した。試作ラインの稼働までには、技術者約300人が千歳市に移り住む。
しかし、「日の丸半導体」のシェア低下を狙って1986年に締結された日米半導体協定や、海外勢の台頭により、日本から多くの人材やノウハウが失われた。早大大学院の長内厚教授は「いきなり最先端の製品を作ることに不安がある」と指摘。台湾積体電路製造(TSMC)など競合相手をしのぐ大規模生産ができない限り、「コストメリットを出しにくいのではないか」と懐疑的だ。
量産に向けた総投資額は5兆円に上る見通し。ラピダスにはトヨタ自動車やソニーグループなど最先端の国産半導体に期待する企業が計73億円を出資しているが、今のところ追加出資の声は聞こえてこない。量産開始まであと3年、乗り越えなければならない高いハードルがいくつも待ち受けている。
時事通信 編集局2024年05月06日19時00分配信
https://www.jiji.com/sp/article?k=2024050600116&g=eco#goog_rewarded
引用元: ・国費1兆円の勝算は? 次世代半導体に本腰―ラピダス [蚤の市★]
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