三島由紀夫を思わせる華麗な文章が注目された本作の衝撃とは? 『百年泥』で新潮新人賞を受賞し、同作で芥川賞にも輝いた石井遊佳さんが読みどころを語った書評を紹介する。
石井遊佳・評「〈影響〉という名の翼」
自身を顧みるに、本格的読書を三島文学から開始した私は、浴びるように三島を食らっていた当時、まれに小説を読んでいる友人がいるとその手にあるのが三島作品でないのを見て、「なんで三島由紀夫読まへんのやろ?」と不思議に思うような仕方のない高校生であった。
同じく三島文学に傾倒する作者による『海を覗く』は、第五十五回新潮新人賞に輝いた作品である。
作者・伊良刹那は同賞受賞者の最年少。三島由紀夫を読み始めて二年足らずの十七歳の少年がこの小説を書いたことは理屈抜きに衝撃であり、かつ作者の年齢を考えればこの作品はほんの瞬きの間の通過点に違いなく、これが処女作であり出発点なんだったら、この先いったいどれだけ化けるの? というおののきを禁じ得ない。
『海を覗く』伊良刹那[著]
『海を覗く』の主人公・速水圭一は高校二年、美術部員である。同級生である北条司の美貌と透徹した無関心さに惹かれ、絵のモデルになってもらう約束をする。物語は速水自身の内省を基調として彼の北条への恋が描かれ、同じ美術部員の山中春美、美術部部長の矢谷始なども絡みつつ十代の潔癖な観念性、アンバランスな精神性が浮き彫りにされる。
作者自身が述べるように、『海を覗く』は三島へのオマージュとして捧げられている。例えば主人公の〈認識〉への固執、観念的な美の追求、同性愛。女性への残酷な眼差し、〈火〉への心理的接近、また〈窃視〉〈仮面〉といった語の頻出。三島作品、とりわけ『金閣寺』『豊饒の海』あるいは『仮面の告白』あたりの諸作品における主要概念あるいは人物造型等がこの『海を覗く』に綺羅星のごとく鏤められ、まさにこの作者の全身は三島で出来ている、そんな印象すら受ける。
しかしながらただの模倣ではもちろんなく、もろもろの三島要素を作者はその年齢なりの素材、創意、感性の中に落とし込み、清新な言語感覚で新しいイメージと世界観を引き出して見せる。
しかも冒頭から結末までまったく息切れしていない。タダモノではない。
続きはソースで
https://news.yahoo.co.jp/articles/313c02d7b62ac32c3a76e1fa1964abc8448654a9
引用元: ・【小説】「理屈抜きで衝撃」「おののきを禁じ得ない」最年少でデビューした17歳の少年が書いた小説の凄さとは? [ネギうどん★]
芸能人が横取りすることを
ボランティアとかいう
某アルメニア人の思考。
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