さらに、1月28日付け本コラム<岸田首相の「派閥解散」は、結局「政治とカネ」をうやむやにするための目眩しだった…執拗に派を攻め立てて>で
<今回の権力闘争の背後に財務省がいるのではないかと邪推させるような出来事が起こった。財務省に近く親中の小渕優子氏が茂木派を離脱した>と記した。
なお、1月22日付けの「現代ビジネス」コラムで<麻生氏は相談なしで岸田首相が派閥解散をいったので怒っているというが、これは額面通りには受け取れない>と記したように、麻生氏が怒っているということを否定すれば、”ラスボス”財務省のストーリーが浮上する。しかし、さる政治部記者の解説では、麻生氏激怒を否定できず、こうした見方はあまりできない。
ところが、ここに来て、やはり財務省が「ラスボス」かと思わせる話が出てきた。自民党の財政健全化推進本部が新体制となったのだ。
本部長に就任した古川禎久元法相、本部長代行に小渕優子氏、幹事長に青木一彦氏といずれも茂木派から退会する面々が並んでいる。
最高顧問の麻生太郎副総裁を含めたこのメンバーの意味合いと推進本部の狙いや、現在の派閥をめぐる政局との関連はプンプン匂う。
今回の派閥解散を含む政局について、「現代ビジネス」におけるコラムに書いてきたように、筆者は、財務省が一枚かんでいるとにらんでいた。
筆者の元財務官僚としての直感に過ぎない部分もあるが、大きな政局に財務省が重要なプレーヤーになるのは、これまでの歴史が示している。
その観点から、政治部記者が岸田首相が岸田派解散について麻生氏にまったく相談せず、それで麻生氏が激怒していると報道されていることについて、
本コラムで筆者は疑問を呈してきた。
岸田派と麻生派は、元々宏池会という同じ派閥であり、麻生氏が「大宏池会」と岸田派と麻生派の合併を悲願としているのは周知の事実だ。
岸田派が解散しても、麻生派が解散しなければ、自ずと大宏池会になる。
しかも、岸田派解散は他派閥解散に引き金になる。実際、派、二階派は解散した。麻生派は見立て通り解散せず、残るは茂木派だ。だが茂木派の小渕氏、古川氏、青木氏らの引き抜きにより、茂木派は事実上解散状態だ。
結局残ったのは麻生派だけで、これで大宏池会の復活は時間の問題である。
大宏池会は、元々宏池会なので、創始者が池田勇人氏、それを大平正芳氏、鈴木善幸氏、宮沢喜一氏が引き継ぎ、今の岸田首相にまで連綿と続く。
池田氏、大平氏、宮沢氏は旧大蔵省出身で、極めて大蔵省色の強い派閥だった。今の財務省が大宏池会復活を望むのは自然である。そこにキングメーカーになりたい麻生氏と強力タッグがひそかに組まれたとみたほうが、今回の政局を俯瞰的に見ることができる。
結果的に「麻生氏激怒せず、大宏池会、財務省」という補助線を入れると、今回の派閥解散の政局がスッキリ見通しが良くなる。
その観点からは、派閥はイメージも悪いので、財政再建という政策実現のための政策集団という形も必要であり、そこに財務省がからんでいる、というのが今回の自民党総裁直轄の自民党財政健全化推進本部の新体制である。派が弱いときに主導権を握りたいという思惑もあるだろう。
今の時期に動き出したからには、6月ごろに決める経済財政運営と改革の基本方針(骨太の方針)で、財政再建の旗を立てるはずだ。その時期には、ひょっとしたら、衆院解散・総選挙もありえるので、その場合には財務省としては自民党公約まで持っていきたいのだろう。
晋三元首相がいない今、長期政権下での財務省の不遇をすべて取り戻さんばかりの勢いである。
元首相の考え方を継承するグループは、無所属系には多くいる。残念なのは、そうした力を一つにまとめる政治家が今のところは見当たらないことだ。
この点、「大宏池会、キングメーカー麻生氏、実務支配財務省」と比べると見落としする。
引用元: ・【髙橋 洋一】財務省が 「自民党大解体」のあとの 「ラスボス」だった・・・!
解読するガッツもない
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